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虚偽の処方せんの調剤報酬の不正請求(架空請求)の実例です。保険薬局・保険薬剤師の個別指導、監査は、薬局の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険薬局・保険薬剤師の取消の実例(4):虚偽の処方せんの不正請求

薬局の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。


ここでは、虚偽の処方せんによる調剤報酬の不正請求(架空請求)での元保険薬局の指定の取消相当、保険薬剤師の登録の取消しの実例をご紹介します。関東信越厚生局の平成28年3月付けの取消処分の実例であり、説明のため簡略化等をしています。

薬局・薬剤師の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。

【コラム】薬局の個別指導と監査の上手な対応法

虚偽の処方せんによる不正請求(架空請求)


 1 監査に至った経緯

関東信越厚生局の公表資料によれば、監査に至った経緯は以下のとおりです。

1 虚偽の日付の処方せんでの調剤
当該保険薬局に対し個別指導を実施したところ、特定の医療機関から虚偽の日付を交付年月日に記載した処方せんを受けて欲しい旨依頼され、それに応じ調剤を行った旨の発言があり、不正請求が強く疑われた。

【コメント】
虚偽の日付が交付年月日に記載された処方箋とは、具体的には、将来の未到来の日付が記載された処方箋のことと思われます。典型的なパターンですと、医療機関が診療を行った日のいわゆる通常の処方箋に加えて、将来の未到来日が記載された処方箋も医療機関が患者に交付し、患者が複数枚の処方箋を得て、薬局に当該処方箋を持ち込む、というものです。

薬局としては、虚偽の日付が交付年月日に記載された不適切な処方箋について、応じてはいけません。その処方箋が門前薬局などで繋がりの強い医療機関からのものであっても、はっきりと拒否することが求められます。最初が肝心であり、一度くらい、と虚偽の処方箋に応じてしまうと、常態化に繋がりますので、最初にきっぱり断ることが必要です。

2 合計5回の監査の実施
このことから、平成25年12月から平成27年5月まで計5回の監査を実施した。
結果として「行政処分等の主な理由」に記載した事実を確認した。

【コメント】
虚偽の日付の処方箋を受けている場合は、その薬局において、患者が持参した通常の処方箋の調剤に加え未到来の日付の処方箋の調剤もその未到来日に調剤をしたものとして同時に一括して行い、いわゆる架空請求や付増請求の不正請求が行われているケースがあります。

なお、本ケースのように、医療機関と薬局が結託・共謀して不適切な請求を行っていることが疑われる場合は、医療機関と薬局に対して並行して個別指導・監査が実施されることがあります。

 2 取消処分の理由

関東信越厚生局の公表資料によれば、取消処分・取消相当の主な理由は以下のとおりです。

なお、取消処分・取消相当にあたっては、平成28年3月に開催された関東信越地方社会保険医療協議会に「元保険薬局の指定の取消相当」及び「保険薬剤師の登録の取消」について意見伺及び諮問がなされ、それらを妥当とする建議及び答申がなされています。

【行政処分等の主な理由】
当該保険薬局及び保険薬剤師の監査を実施した結果、以下の事実を確認した。

1 調剤報酬の架空請求
・ 実際には行っていない保険調剤を行ったものとして調剤報酬を不正に請求していた。

2 調剤報酬の付増請求
・ 実際に行った保険調剤に行っていない保険調剤を付け増して、調剤報酬を不正に請求していた。

【コメント】
いわゆる虚偽の日付(未到来日)の処方箋での不正請求の場合、典型的なケースを想定すると、厚生局の不正請求の分類上、その虚偽の日付が翌月など月が変わる場合は架空請求となり、その虚偽の日付がその月内である場合は付増請求となります。

 3 調剤報酬の不正請求額

関東信越厚生局の公表資料によれば、監査で判明した不正件数、金額は以下のとおりです。

不正件数
・ 181件

不正請求額
・ 114万5243円

なお、監査で判明した以外分についても不正請求等があったものについては、監査の日から3年前まで遡り、保険者等へ返還させることとしている。

 4 保険薬局・保険薬剤師の取消の根拠条文等

1 元保険薬局の指定の取消相当
当該保険薬局は、平成26年6月付けで廃止となっていることから指定の取消相当の取扱いとするものです。
指定の取消相当の取扱いとは、指定の取消の処分と同等の取扱いとするものです。

2 保険薬剤師の登録の取消
健康保険法第81条第1号及び第3号


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薬局・薬剤師の指導、監査のコラム


薬局・薬剤師の指導、監査のコラムの一覧です。
虚偽の日付の処方せんでの不正請求の実例の他、様々なケースをご紹介しています。
個別指導(薬局)の際に、また日常の薬局運営にご活用下さい。

 薬局の指導監査

1 薬局の個別指導と監査

 保険薬局・保険薬剤師の取消の実例

1  保険薬局・薬剤師の取消の実例(1):情報提供の個別指導

2  保険薬局・薬剤師の取消の実例(2):無資格調剤による取消

3  保険薬局・薬剤師の取消の実例(3):監査拒否による取消処分

4  保険薬局・薬剤師の取消の実例(4):虚偽の処方せんの不正請求

5  保険薬局・薬剤師の取消の実例(5):別薬局の調剤分の不正請求

6  保険薬局・薬剤師の取消の実例(6):医院の個別指導からの監査

7  保険薬局・薬剤師の取消の実例(7):架空請求有罪判決での監査

8  保険薬局・薬剤師の取消の実例(8):処方せん付替えの不正請求

9  保険薬局・薬剤師の取消の実例(9):不正請求の匿名の情報提供

10 保険薬局・薬剤師の取消の実例(10):不正請求の厚生局への報告

11 保険薬局・薬剤師の取消の実例(11):不正請求の報告書の疑義

12 保険薬局・薬剤師の取消の実例(12):不正な処方箋の集約の通報

13 保険薬局・薬剤師の取消の実例(13):関東信越厚生局の監査

14 保険薬局・薬剤師の取消の実例(14):処方箋の集中率の不正操作

15 保険薬局・薬剤師の取消の実例(15):処方箋受付回数の不正操作

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