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保険薬局の取消処分(無資格調剤)の実例です。保険薬局・保険薬剤師の個別指導、監査は、薬局の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険薬局・保険薬剤師の取消の実例(2):無資格調剤による取消

薬局の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。


ここでは、無資格調剤による保険薬局の指定の取消の実例をご紹介します。東海北陸厚生局の平成27年3月付けの取消相当の実例であり、説明のため簡略化等をしています。

薬局・薬剤師の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。

【コラム】薬局の個別指導と監査の上手な対応法

無資格調剤による保険薬局の取消


 1 不正請求が判明し監査に至る経緯

東海北陸厚生局の公表資料によれば、不正請求(無資格調剤)で監査に至った経緯は以下のとおりです。

1 無資格調剤による書類送検の新聞報道
東海北陸厚生局に、警察署から当該保険薬局の無資格者の調剤に係る調剤報酬の保険請求行為について電話照会があり、その後、警察が当該保険薬局の開設法人、代表者及び事務員3名を薬剤師の資格がない事務員に調剤させていたとして、薬剤師法と薬事法違反容疑で検察庁に書類送検したという新聞報道があり、この報道から無資格者が行った調剤について調剤報酬の不正請求が疑われた。

【コメント】
無資格者による調剤を行わせていた場合、本ケースのように、まず警察が動き、その後追い的に厚生局が動き出すケースがあります。

この場合、例えば、警察の捜査の結果、当該薬局に関して検察が起訴し、係る有罪判決の後に、訴訟記録などを踏まえ、厚生局が監査を実施し取消相当などとすることがあります。調剤に関して有罪判決となり刑事罰があっても、それとは別個の手続きとして、取消相当などとなり得ますので、注意が必要です。

2 厚生局の無資格調剤の事実確認 
検察庁において開設法人の代表者及び従事者の薬事法違反に係る訴訟記録を閲覧及び謄写したところ、事務員に調剤させたこと、本来は閉局している時間帯において、11回にわたり事務員に薬局を開局させ、管理薬剤師に実地に管理させなかったことを確認した。

【コメント】
警察の捜査の過程などで厚生局が薬局の保険調剤の不正請求(本ケースでは無資格者調剤など)の疑義を把握した場合、厚生局は、厚生局として当該疑義について指導監査を実施するかなど、判断することになります。刑事事件化しているケースでは、厚生局は取消処分・取消相当を念頭に厳しく対応してくる傾向を感じます。

3 厚生局での監査の実施
以上の状況から、調剤及び調剤報酬の請求に不正又は著しい不当が強く疑われたため、監査を行った。監査において事実確認を行い、以下に示す事実が判明した。

【コメント】
本ケースの薬局は、平成23年12月に廃止されています。既に廃止された薬局に対しては、厚生局の現在の運用では、個別指導は実施されません。その場合で不正請求の疑義などがあるときは、監査が実施されることになります。

 2 取消相当の理由

東海北陸厚生局の公表資料によれば、取消相当の主な理由は以下のとおりです。なお、当該取消相当は、平成27年3月に開催された東海北陸地方社会保険医療協議会の建議に基づいています。

【元保険薬局の事故】
1 付増請求
実際に行った保険調剤に行っていない保険調剤を付け増して、調剤報酬を不正に請求していた。

2 無資格調剤
無資格者が行った調剤を保険薬剤師が行ったものとして、調剤報酬を不正に請求していた。

3 調剤録への不実記載
上記1及び2について、調剤録に不実記載していた。

4 調剤報酬の不当請求
算定要件を満たさない調剤報酬を不当に請求していた。

これらは、保険医療機関又は保険薬局の責務を定めた健康保険法第70条第1項、保険医又は保険薬剤師の責務を定めた健康保険法第72条第1項、保険医療機関等の責務を定めた国民健康保険法第40条第1項及び高齢者の医療の確保に関する法律第65条に違反する。

【コメント】
無資格者が調剤していたとなると、付随関連して、管理薬剤師の管理・関与はどうなっていたのかなど、様々な不適切な事象が推測され、監査で確認されたものと思われます。

薬剤師がやらなければならない業務と、薬剤師でなくともできる業務の区分を正しく理解し、薬剤師でなければできない業務を無資格者に行わせることがないよう、十分注意する必要があります。

 3 調剤報酬の不正請求額

東海北陸厚生局の公表資料によれば、監査で確認した不正請求・不当請求の件数と金額は以下のとおりです。

平成22年7月〜平成23年12月調剤分
・不正請求  21名分  31件  6万2315円
・不当請求  20名分 309件 17万0610円
 合 計   41名分 340件 23万2925円

 4 元保険薬局の指定の取消相当

【処分の内容】
取消相当となった日(平成27年3月)から5年を経過するまでの間に、再指定の申請があった場合は保険薬局として著しく不適当と認め再指定を行わない。

なお、当該保険薬局は、平成23年12月をもって廃止されている。


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薬局・薬剤師の指導、監査のコラム


薬局・薬剤師の指導、監査のコラムの一覧です。
無資格者の調剤での不正請求の実例の他、様々なケースをご紹介しています。
個別指導(薬局)の際に、また日常の薬局運営にご活用下さい。

 薬局の指導監査

1 薬局の個別指導と監査

 保険薬局・保険薬剤師の取消の実例

1  保険薬局・薬剤師の取消の実例(1):情報提供の個別指導

2  保険薬局・薬剤師の取消の実例(2):無資格調剤による取消

3  保険薬局・薬剤師の取消の実例(3):監査拒否による取消処分

4  保険薬局・薬剤師の取消の実例(4):虚偽の処方せんの不正請求

5  保険薬局・薬剤師の取消の実例(5):別薬局の調剤分の不正請求

6  保険薬局・薬剤師の取消の実例(6):医院の個別指導からの監査

7  保険薬局・薬剤師の取消の実例(7):架空請求有罪判決での監査

8  保険薬局・薬剤師の取消の実例(8):処方せん付替えの不正請求

9  保険薬局・薬剤師の取消の実例(9):不正請求の匿名の情報提供

10 保険薬局・薬剤師の取消の実例(10):不正請求の厚生局への報告

11 保険薬局・薬剤師の取消の実例(11):不正請求の報告書の疑義

12 保険薬局・薬剤師の取消の実例(12):不正な処方箋の集約の通報

13 保険薬局・薬剤師の取消の実例(13):関東信越厚生局の監査

14 保険薬局・薬剤師の取消の実例(14):処方箋の集中率の不正操作

15 保険薬局・薬剤師の取消の実例(15):処方箋受付回数の不正操作

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