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処方箋集中率の不正操作の情報提供があった薬局の取消相当の実例です。保険薬局の個別指導、監査は、薬局の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険薬局・保険薬剤師の取消の実例(14):処方箋集中率の不正操作

薬局の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。


ここでは、薬局での処方箋の集中率についての不正な操作に関する情報提供が厚生労働省保険局医療課医療指導監査室から厚生局にあり、薬局から報告書の提出を受け、個別指導が実施され、監査、保険薬局の指定の取消相当となった実例をご紹介します。関東信越厚生局の令和4年9月付けの取消相当の実例であり、説明のため簡略化等をしています。

薬局・薬剤師の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。

【コラム】薬局の個別指導と監査の上手な対応法

厚生労働省から処方箋集中率の不正操作の情報提供があった実例


 1 監査に至った経緯

関東信越厚生局の公表資料によれば、取消相当に至った経緯は以下のとおりです。

1 厚生労働省の医療指導監査室からの情報提供
厚生労働省保険局医療課医療指導監査室から、その薬局において調剤を行っていないにもかかわらず、株式会社の他の薬局から調剤済みとなった処方箋を集約し、その薬局で調剤を行ったものとして処方箋集中率を不正に操作した事案に関する資料等について情報提供があった。

【コメント】
関東信越厚生局に、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室から情報提供がなされており、めずらしいケースであるとのイメージです。厚生労働省の医療指導監査室は、国の全体的な保険医療機関等への指導監査等について担当しており、そこからの情報提供ですので、また、その情報提供の内容も、処方箋の集中率の不正操作の事案であり重大なものと考えられ、情報提供を受けた厚生局としては、厳しく対応するものと考えられます。

2 処方箋集中率不正操作の薬局側からの報告書
株式会社に対し処方箋集中率の不正操作事案について報告を求めたところ、株式会社から報告書が提出され、薬局が自局で調剤を行っていないにもかかわらず調剤を行ったものとして調剤報酬を請求していた旨の記載があった。さらに、他の薬局から集約した枚数を含めて集中率を計算し、「調剤基本料1」を維持できるよう集中率を改ざんして、「調剤基本料1」と調剤基本料1を算定している保険薬局においてのみ加算が可能である「基準調剤加算」を算定していた旨の記載があった。

【コメント】
薬局側としては、処方箋集中率の不正操作を認め、報告書を厚生局に提出しています。

3 個別指導の実施、個別指導の中断
薬局の個別指導を実施したところ、薬局において調剤を行っていないにもかかわらず調剤報酬の請求を行っていたことが確認されたため個別指導を中断した。

【コメント】
報告書の提出を受け不正の疑義が濃厚となり、個別指導が実施され、そこで、その薬局で調剤を行っていないにもかかわらずその薬局で調剤したとして調剤報酬の請求を行っていたことが厚生局に確認されています。既に処方箋集中率の不正操作を認める内容の報告書を提出しており、薬局側としては、監査とはせずに寛大な処理をして欲しかったところと思われます。

4 個別指導の中止、監査の実施
株式会社から提出された報告書及び指導内容から、不正請求の疑義が濃厚となったため、個別指導を中止し、令和2年2月27日から令和4年1月20日まで計12日間の監査を実施し、結果として以下に記載した事実を確認した。

【コメント】
監査が令和2年2月から令和4年1月まで実施され、かなりの期間であると感じます。監査の実施となった場合に必ず取消処分・取消相当となるわけではありませんが、取消処分等にならなかったとしても監査での薬局側への負担は大きいため、できるだけ監査を回避することが非常に重要です。

 2 取消相当の理由

関東信越厚生局の公表資料によれば、取消相当の主な理由は以下のとおりです。

1 処方箋の集約での不正請求
処方箋を集約するために、同一開設者の他の保険薬局で行った調剤を当該保険薬局で調剤を行ったものとして、調剤報酬を不正に請求していた。

【コメント】
厚生局に提出した報告書で薬局側が認めた、処方箋集中率の不正操作に係る不正請求となります。

2 調剤基本料1などの不正請求
上記の方法により「調剤基本料1」の施設基準(特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が9割5分以下)を不正に維持し、本来であれば「調剤基本料1」から「調剤基本料3」へ変更すべきところ必要な届出を行わず「調剤基本料1」の基準に適合しているとして算定を継続し、調剤報酬を不正に請求していた。加えて、「基準調剤加算」の届出を行った上、「調剤基本料1」の基準に適合しているとして、調剤報酬を不正に請求していた。

【コメント】
こちらも、報告書で薬局側が認めた処方箋の集中率の不正操作に係る調剤報酬の不正請求となります。

 3 調剤報酬の不正請求額

関東信越厚生局の公表資料によれば、監査で判明した不正金額は、以下のとおりです。
 
 不正請求額 1万5892件 317万4106円

【コメント】
以上の不正請求額は、監査のプロセスにおいて厚生局に確認されたものですが、厚生局は、およそすべてのレセプトのあらゆる不正・不当の有無について確認するわけではなく、公表資料によれば、確認された以外の分についても不正請求等があったものについては、厚生局は、監査の日から5年前まで遡り、保険者等への返還をさせることとしているとのことです。


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薬局・薬剤師の指導、監査のコラム


薬局・薬剤師の指導、監査のコラムの一覧です。
処方箋集中率の不正操作での取消相当の実例の他、様々なケースをご紹介しています。
個別指導(薬局)の際に、また日常の薬局運営にご活用下さい。

 薬局の指導監査

1 薬局の個別指導と監査

 保険薬局・保険薬剤師の取消の実例

1  保険薬局・薬剤師の取消の実例(1):情報提供の個別指導

2  保険薬局・薬剤師の取消の実例(2):無資格調剤による取消

3  保険薬局・薬剤師の取消の実例(3):監査拒否による取消処分

4  保険薬局・薬剤師の取消の実例(4):虚偽の処方せんの不正請求

5  保険薬局・薬剤師の取消の実例(5):別薬局の調剤分の不正請求

6  保険薬局・薬剤師の取消の実例(6):医院の個別指導からの監査

7  保険薬局・薬剤師の取消の実例(7):架空請求有罪判決での監査

8  保険薬局・薬剤師の取消の実例(8):処方せん付替えの不正請求

9  保険薬局・薬剤師の取消の実例(9):不正請求の匿名の情報提供

10 保険薬局・薬剤師の取消の実例(10):不正請求の厚生局への報告

11 保険薬局・薬剤師の取消の実例(11):不正請求の報告書の疑義

12 保険薬局・薬剤師の取消の実例(12):不正な処方箋の集約の通報

13 保険薬局・薬剤師の取消の実例(13):関東信越厚生局の監査

14 保険薬局・薬剤師の取消の実例(14):処方箋の集中率の不正操作

15 保険薬局・薬剤師の取消の実例(15):処方箋受付回数の不正操作

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