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関東信越厚生局へ不正な処方箋の集約の通報が匿名の者からあった薬局の取消相当の実例です。保険薬局の個別指導、監査は、薬局の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険薬局・保険薬剤師の取消の実例(12):不正な処方箋の集約の通報

薬局の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。


ここでは、関東信越厚生局に匿名で薬局で不正な処方箋の集約がなされているとの情報提供、通報があり、個別指導が実施され、監査、保険薬局の指定の取消相当となった実例をご紹介します。関東信越厚生局の令和4年3月付けの取消相当の実例であり、説明のため簡略化等をしています。

薬局・薬剤師の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。

【コラム】薬局の個別指導と監査の上手な対応法

関東信越厚生局に不正な処方箋の集約の通報があった実例


 1 監査に至った経緯

関東信越厚生局の公表資料によれば、取消相当に至った経緯は以下のとおりです。

1 匿名での不正な処方箋の集約の通報
匿名の者から株式会社の系列である新潟県に所在する薬局が特定の保険医療機関からの処方箋の集中率を低下させる目的で、不正な処方箋の集約を行っているとの情報提供があった。

【コメント】
本ケースでは、匿名の者から、集中率を低下させる目的での不正な処方箋の集中を行っているとの情報提供、通報がありました。

厚生局に不正請求の情報提供、通報があった場合、その通報の内容の信ぴょう性や証拠状況などを総合的に勘案した上で、厚生局は、個別指導等を実施するか、判断しているものと考えられます。本ケースは匿名での情報提供・通報ですが、以下のとおり、薬局側へ報告を求めており、匿名の情報提供・通報であっても、内容により、厚生局が対応していくことになります。

不正な処方箋の集約による調剤報酬の不正請求は、基本的には、複数の薬局間での処方箋の操作が行われ、他の不正に比し不正に関与・関係する薬局内部関係者の人数が多くなることが想定され、不正の情報提供・通報が生じやすい類型の不正請求と思われます。

2 不正な処方箋の集約を認める報告書の提出
株式会社に対し不正な処方箋の集約について報告を求めたところ、株式会社から当該保険薬局が不正な処方箋の集約を行い、調剤基本料3で請求すべきものを調剤基本料1として請求しているとの報告書が提出された。

【コメント】
厚生局が薬局側へ報告を求め、その結果、通報された内容に沿った、不正な処方箋の集約をしていたことを認める報告書の提出が薬局側からなされました。

3 個別指導の実施、個別指導の中断
当該保険薬局の個別指導を実施したところ、不正な処方箋の集約を行い、調剤基本料3で請求すべきところ調剤基本料1を請求している疑義が生じたため、事案の内容を精査することとし、個別指導を中断した。

【コメント】
個別指導が実施され、不正な処方箋の集約が確認され、個別指導の中断に至っています。

個別指導の中断となった場合、ケースバイケースではあるものの、監査を想定しての個別指導の中断であり、後に個別指導が中止され監査が実施されるケースが稀ではありません。個別指導となった場合、個別指導の中断とならないように対応することが、監査を回避するために重要です。

4 個別指導の中止、監査の実施
株式会社から提出された報告書及び指導時の状況から、不正請求の疑義が濃厚となったため、個別指導を中止し、令和元年7月31日から令和3年4月21日まで計17日間の監査を実施し、結果として概要以下に記載した事実を確認した。

【コメント】
薬局側としては監査の実施は回避したかったところと思われますが、厚生局の判断により、不正な処方箋の集約での調剤報酬の不正請求の疑義で、監査の実施に至っています。

 2 取消相当の理由

関東信越厚生局の公表資料によれば、取消相当の主な理由は以下のとおりです。

1 処方箋の集約での不正請求
処方箋を集約するために、同一開設者の他の保険薬局で行った調剤を当該保険薬局で調剤を行ったものとして、調剤報酬を不正に請求していた。

【コメント】
薬局が報告した、不正な処方箋の集約の不正請求が認定されています。

2 処方箋原本を確認せずの調剤などでの不正請求
処方箋を集約するために、処方箋原本を確認せずに調剤を行い、対面による医薬品の情報提供及び指導を行っていないにもかかわらず、調剤報酬を不正に請求していた。

【コメント】
処方箋の集約に関連して、種々の不適切な事象が生じています。

3 調剤基本料1の算定継続の不正請求
上記1及び2の方法により「調剤基本料1」の施設基準(特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が9割5分以下)を不正に維持し、本来であれば「調剤基本料1」から「調剤基本料3」へ変更すべきところ必要な届出を行わず「調剤基本料1」の基準に適合しているとして算定を継続し、調剤報酬を不正に請求していた。

【コメント】
この調剤基本料1の不正な維持が、不正な処方箋の集約の目的となります。

4 通院困難なものとしての不正請求
在宅で療養を行っている患者であって通院が困難なものでない患者であるにもかかわらず、通院困難なものとして、調剤報酬を不正に請求していた。

 3 調剤報酬の不正請求額

関東信越厚生局の公表資料によれば、監査で判明した不正金額は、以下のとおりです。
 
 不正請求額 3611件 105万1380円

※ 監査で判明した以外の分についても不正請求等があったものについては、監査の日から5年前まで遡り、保険者等へ返還させることとしている。


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薬局・薬剤師の指導、監査のコラム


薬局・薬剤師の指導、監査のコラムの一覧です。
不正な処方箋の集約の関東信越厚生局への通報の実例の他、様々なケースをご紹介しています。
個別指導(薬局)の際に、また日常の薬局運営にご活用下さい。

 薬局の指導監査

1 薬局の個別指導と監査

 保険薬局・保険薬剤師の取消の実例

1  保険薬局・薬剤師の取消の実例(1):情報提供の個別指導

2  保険薬局・薬剤師の取消の実例(2):無資格調剤による取消

3  保険薬局・薬剤師の取消の実例(3):監査拒否による取消処分

4  保険薬局・薬剤師の取消の実例(4):虚偽の処方せんの不正請求

5  保険薬局・薬剤師の取消の実例(5):別薬局の調剤分の不正請求

6  保険薬局・薬剤師の取消の実例(6):医院の個別指導からの監査

7  保険薬局・薬剤師の取消の実例(7):架空請求有罪判決での監査

8  保険薬局・薬剤師の取消の実例(8):処方せん付替えの不正請求

9  保険薬局・薬剤師の取消の実例(9):不正請求の匿名の情報提供

10 保険薬局・薬剤師の取消の実例(10):不正請求の厚生局への報告

11 保険薬局・薬剤師の取消の実例(11):不正請求の報告書の疑義

12 保険薬局・薬剤師の取消の実例(12):不正な処方箋の集約の通報

13 保険薬局・薬剤師の取消の実例(13):関東信越厚生局の監査

14 保険薬局・薬剤師の取消の実例(14):処方箋の集中率の不正操作

15 保険薬局・薬剤師の取消の実例(15):処方箋受付回数の不正操作

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