厚生労働省の薬局個別指導

15　厚生労働省の個別指導（１）：調剤、調剤技術料、薬学管理料

薬局の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。

ここでは、厚生労働省の薬局個別指導での、調剤、調剤済処方箋の取扱い、調剤技術料、薬学管理料、届出事項、一部負担金などに関する指摘事項をご紹介します。指摘事項は、厚生労働省の公表資料「平成２９年度　特定共同指導・共同指導（薬局）における主な指摘事項」に基づいており、弁護士が適宜修正等しています。

薬局個別指導については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。

【コラム】薬局の個別指導と監査の上手な対応法

１　調剤全般（厚労省の指摘事項）

１　処方内容に関する薬学的確認
・処方内容について確認を適切に行っていない。
（処方医への疑義照会を行っているものの、その内容等を処方せん又は調剤録に記載していないものを含む。）
（例：薬剤の処方内容より禁忌例への使用が疑われるもの、医薬品医療機器等法による承認内容と異なる用法・用量で処方されているもの、過量投与が疑われるもの、投与期限の上限が設けられている医薬品の上限を超えて処方されているもの、重複投薬が疑われるもの、漫然と長期にわたり処方されているもの等）

２　調剤
・後発医薬品への変更調剤について適切に行っていない。
（例：後発医薬品を希望している患者に対して、先発医薬品から後発医薬品への変更可能な処方せんであって、当該処方に係る後発医薬品を支給可能又は備蓄しているにもかかわらず、先発医薬品を調剤している。）

３　調剤済処方せんの取扱い
・調剤済み年月日の記載がない。
・保険薬剤師の署名又は姓名の記載、押印がない。
・「備考」欄又は「処方」欄に、医師に照会を行った際の回答内容の記載がない。

２　調剤技術料（厚労省の指摘事項）

１　調剤料
・内服薬につき、１剤とすべきところ、２剤として算定している。

・外用薬につき、１調剤とすべきところ、２調剤として算定している。

２　一包化加算
・治療上の必要性が認められない場合に算定している。

・医師の了解を得た上で行ったものではない場合に算定している。

３　自家製剤加算
・調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合に算定している。

・調剤録等に製剤工程を記載していない。

３　薬学管理料（厚労省の指摘事項）

１　薬剤服用歴管理指導料
・レセプトコンピュータの初期設定が、薬剤服用歴管理指導料を算定するようになっており、自動的な算定となるおそれがある。

・処方せんの受付後、薬を取りそろえる前に薬剤師が患者等に行う確認が行われていない、又は事務員が代行している。
（例：服薬状況、残薬状況、患者の服薬中の体調の変化、併用薬等の情報、他科受診の有無、副作用が疑われる症状の有無）

２　薬剤服用歴の記録
・薬剤服用歴の記録を最終の記入の日から３年間保存していない。

・必要な事項の記載がない。
（例：アレルギー歴、副作用歴、服薬状況、残薬の状況、後発医薬品の使用に関する患者の意向、服薬指導の要点）

・薬剤服用歴への記載が、指導後速やかに完了していない。

３　おくすり手帳
・患者のアレルギー歴及び副作用歴の記載がない。

４　薬剤服用歴の記録（電磁的記録の場合）の保存等
・運用管理規程を作成していない。

・真正性、見読性、保存性が確保されていない。

・定期的に職員に対し個人情報の安全管理に関する教育訓練を行っていない。

５　麻薬管理指導加算
・薬剤服用歴の記録に指導の要点を記載していない。

６　特定薬剤管理指導加算
・特に安全管理が必要な医薬品に該当しない医薬品について算定している。

・特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合に、その全てについての必要な薬学的管理及び指導を行っていない。

・対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点を薬剤服用歴の記録に記載していない。

７　かかりつけ薬剤師指導料
・患者の同意を得た旨を薬剤服用歴に記載していない。

４　事務的事項（厚労省の指摘事項）

・届出事項の変更が速やかに行われていない。

・掲示や一部負担金等の取扱いが不適切である。

５　その他（厚労省の指摘事項）

・調剤報酬明細書の記載内容に誤りがある。

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