薬剤師の個別指導に強い弁護士の鈴木陽介です。
ここでは、関東信越厚生局の薬剤師への個別指導での、調剤、調剤技術料、薬学管理料に関する指摘事項をご紹介します。指摘事項は、関東信越厚生局の公表資料「平成28年度に実施した個別指導において保険薬局に改善を求めた主な指摘事項」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。
薬剤師への個別指導については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
【コラム】薬局の個別指導と監査の上手な対応法
T 調剤と調剤技術料(薬剤師の指摘事項)
1 調剤内容
処方内容について、疑義照会が適切に行われていない例が認められたので改めること。
・医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)による承認内容と異なる用法、用量及び適応症への使用が疑われるもの
・禁忌投薬が疑われるもの
・投与期間に上限が設けられている医薬品について、その上限を超えたもの
・重複投与が疑われるもの
・併用注意が疑われるもの
・漫然と長期に亘り処方されている医薬品があるもの
・倍量処方が疑われるもの
・過量投与が疑われるもの
・相互作用が疑われるもの
2 処方せんの取扱い
処方せんに不備があるにもかかわらず、疑義照会せずそのまま調剤している例が認められたので改めること。
・用法・用量の指示等の記載がないもの、又は記載が不備であるもの
・外用薬、注射薬、頓服薬の用法の指示等の記載が不完全であるもの
・外用薬において、使用用量、使用時点、使用部位の記載がないもの
・保険医署名欄に署名又は記名押印がないもの
調剤済の処方せんについて、不適切な例が認められたので改めること。
・処方内容に関する疑義照会の記載内容は明確に記載すること。
(照会日時、照会先の保険医等の氏名、照会及び回答内容、照会薬剤師名等)
・実際に調剤にあたった保険薬剤師の署名又は記名押印がない。
・保険薬局の名称及び所在地の記載がない、又は不鮮明である。
・調剤済の旨又は調剤済年月日の記載がない、又は不鮮明である。
・処方せんの調剤済年月日と調剤録の調剤済年月日が相違している。
3 調剤録の取扱い
調剤録について、不適切な例が認められたので改めること。
・修正テープ、修正液、塗りつぶしにより訂正されている。
・調剤した薬剤師名がすべて管理薬剤師名となっている。
4 調剤技術料
休日加算について、不適切な例が認められたので改めること。
・輪番による休日当番を除く休日に常態として開局し調剤応需態勢をとっているにもかかわらず算定している。
調剤料について、不適切な例が認められたので改めること。
・同じ薬剤の規格違いを別剤としている。
嚥下困難者用製剤加算について、不適切な例が認められたので改めること。
・散剤が薬価収載されているにもかかわらず錠剤を粉砕し算定している。
一包化加算について、不適切な例が認められたので改めること。
・治療上の必要性を確認せずに算定している。
・医師の了解を得た上で行ったものではない場合に算定している。
・対象とすべき薬剤すべてを一包化していない。
・薬剤師が一包化の必要性を認め、医師の了解を得た後に一包化を行った場合に必要な事項が調剤録等に記載されていない。一包化を行った場合は、その具体的な理由を調剤録等に記載すること。
時間外加算について、不適切な例が認められたので改めること。
・常態として調剤応需の態勢をとり、開局時間内と同様な取扱いで調剤を行っているにもかかわらず時間外加算を算定している。
自家製剤加算について、不適切な例が認められたので改めること。
・調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている。
・製剤工程が調剤録等に記載されていない。
計量混合調剤加算について、不適切な例が認められたので改めること。
・医薬品の特性を理解し、薬学的に問題がないか十分確認されずに行われている。
・2種類以上の医薬品を計量し、かつ、混合していない。
U 薬学管理料(薬剤師の指摘事項)
薬剤服用歴の記録について、不適切な例が認められたので改めること。
・薬剤服用歴の記録に記載がない、又は記載内容が不十分である。
(性別・住所、調剤日・処方内容に関する照会の要点等の調剤についての記録、患者の体質・アレルギー歴・副作用歴等の患者についての情報の記録、患者又はその家族等からの相談事項の要点、服薬状況、残薬の状況の確認、患者の服薬中の体調の変化、併用薬等の情報、合併症を含む既往歴に関する情報、他科受診の有無、副作用が疑われる症状の有無、飲食物の摂取状況、後発医薬品の使用に関する患者の意向、手帳による情報提供の状況、服薬指導の要点、指導した保険薬剤師の氏名)
・薬剤服用歴の記録への記載は、指導後速やかに記載するよう徹底すること。
・全ての患者について、指導内容が画一的であり、患者ごとに指導した内容を記載すること。
・処方せんの受付後、薬剤を取りそろえる前に確認する事項は保険薬剤師が行うこと。
・患者の基礎情報についての記録が分かるように記載すること。
・併用薬の情報について、有無の記載だけで具体的内容の記載がない。
・薬剤服用歴の記録について、残薬が相当程度認められると判断された場合は、処方医に対しての連絡、投与日数の確認を行うよう努めること。
・服薬指導が、処方せんの受付の都度、新たに収集した患者の情報等を踏まえて行われていない。
・収集した患者情報をもとに薬学的知識に基づき分析・検討を行い、患者の理解度などについて、適切な注意を払い継続性のある指導を行いその指導内容を記載すること。
・記載事項が修正液、修正テープ、貼紙、塗りつぶしにより訂正されている。訂正にあたっては、訂正の経緯が分かるようにすること。
・判読困難な例があったので、第三者にも判読できるような丁寧な記載に努めること。
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薬局・薬剤師の指導、監査のコラム
薬局・薬剤師の指導、監査のコラムの一覧です。
関東信越厚生局の薬剤師個別指導のほか、指導監査への対応法などご紹介しています。
個別指導(薬局)の際に、また日常の薬局運営にご活用下さい。
薬局の指導監査
1
薬局の個別指導と監査
保険薬局・保険薬剤師の取消の実例
1
保険薬局・薬剤師の取消の実例(1):情報提供の個別指導
2
保険薬局・薬剤師の取消の実例(2):無資格調剤による取消
3
保険薬局・薬剤師の取消の実例(3):監査拒否による取消処分
4
保険薬局・薬剤師の取消の実例(4):虚偽の処方せんの不正請求
5
保険薬局・薬剤師の取消の実例(5):別薬局の調剤分の不正請求
薬局の個別指導での指摘事項
関東信越厚生局の指摘事項
平成26年度
1
関東信越厚生局の個別指導(1):調剤、調剤録、調剤技術料
2
関東信越厚生局の個別指導(2):薬学管理料、請求事務
平成27年度
3
関東信越厚生局の個別指導(3):調剤内容、処方せん
4
関東信越厚生局の個別指導(4):薬剤服用歴、明細書
平成28年度
5
関東信越厚生局の個別指導(5):調剤技術料、薬学管理料
6
関東信越厚生局の個別指導(6):届出事項、一部負担金
東海北陸厚生局の指摘事項
7
東海北陸厚生局の個別指導(1):処方せん、調剤
8
東海北陸厚生局の個別指導(2):調剤録、調剤技術料
9
東海北陸厚生局の個別指導(3):薬学管理料
10
東海北陸厚生局の個別指導(4):届出事項、掲示事項
近畿厚生局の指摘事項
11
近畿厚生局の個別指導(1):処方せん、調剤、調剤録
12
近畿厚生局の個別指導(2):調剤技術料、調剤基本料
13
近畿厚生局の個別指導(3):薬剤服用歴管理指導料
14
近畿厚生局の個別指導(4):届出・掲示事項、一部負担金
特定共同指導・共同指導の指摘事項
15
厚生労働省の個別指導(1):調剤、調剤技術料、薬学管理料