薬局の個別指導に強い弁護士の鈴木陽介です。
ここでは、関東信越厚生局の薬局個別指導での、薬学服用歴、明細書、掲示などに関する指摘事項をご紹介します。指摘事項は、関東信越厚生局の公表資料「平成27年度に実施した個別指導において保険薬局に改善を求めた主な指摘事項」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。
薬局の個別指導については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
【コラム】薬局の個別指導と監査の上手な対応法
U 薬学管理料(関東信越厚生局の指摘事項)
薬剤服用歴の記録について、不適切な例が認められたので改めること。
・薬剤服用歴の記録に記載がない、又は記載内容が不十分である。
(性別・住所、調剤日・処方内容に関する照会の要点等の調剤についての 記録、患者の体質・アレルギー歴・副作用歴等の患者についての情報の記録、患者又はその家族等からの相談事項の要点、服薬状況、残薬の状況の確認、患者の服薬中の体調の変化、併用薬等の情報、合併症を含む既往歴に関する情報、他科受診の有無、副作用が疑われる症状の有無、飲食物の摂取状況、後発医薬品の使用に関する患者の意向、手帳による情報提供の状況、服薬指導の要点、指導した保険薬剤師の氏名)
・患者からの収集した情報について、具体的内容が記載されていない。
(有 無の記載のみ、定型的な記載)
・服薬指導が、処方せんの受付の都度、新たに収集した患者の情報等を踏まえて行われていない。
・薬剤服用歴の記録の第一面に、患者情報の追加・更新が行われていない。
・収集した患者情報をもとに薬学的知識に基づき分析・検討を行い、患者の理解度などについて適切な注意を払い継続性のある指導を行いその指導内容を記載すること。
・服薬指導について、過去の薬剤服用歴を参照し、必要に応じて確認・指導内容の見直しをしていない。
・記載事項が修正液、修正テープ、貼紙、塗りつぶしにより訂正されている。訂正にあたっては、訂正の経緯が分かるようにすること。
・鉛筆で記載している。
・患者についての薬剤服用歴の記録が、同一患者についてのすべての記録が必要に応じ直ちに参照できるよう保存・保管されていない。
薬剤服用歴の記録の電子保存について、不適切な例が認められたので改めること。
・電子薬歴に関する運用管理規程が「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第 4.2 版」に沿ったものとなっていない。
・パスワードが定期的に変更されていない。
薬剤情報提供文書について、不適切な例が認められたので改めること。
・個々の患者に適した内容となっていない。
・当該薬剤の形状、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用、服用及び保管取扱い上の注意事項、情報提供を行った保険薬剤師の氏名が記載されていない。
経時的に薬剤の記録が記入できる薬剤の記録専用手帳の取り扱いについて、不適切な例が認められたので改めること。
・情報提供する内容(服用に際して注意すべき事項)が不十分である。
・重大な副作用又は有害事象等を防止するために特に患者が服用時や日常生活上注意すべき事項(内容)の記載がない。
・投薬された薬剤により発生すると考えられる症状(相互作用を含む)が記載されていない、又は不十分である。
重複投薬・相互作用防止加算について、不適切な例が認められたので改めること。
・処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容等を薬剤服用歴の記録に記載すること。
特定薬剤管理指導加算について、不適切な例が認められたので改めること。
・患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点について、薬剤服用歴の記録に記載がない、不十分、又は画一的である。
・特に安全管理が必要な医薬品が、複数処方されている場合に、そのすべてについての必要な薬学的管理及び指導をしていない。
・特に安全管理が必要な医薬品に該当しない医薬品について算定している。
乳幼児服薬指導加算について、不適切な例が認められたので改めること。
・薬剤服用歴の記録及び手帳に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認内容の記載がない、又は不十分である。
・手帳に、適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導の要点の記載がない、又は不十分である。
麻薬管理指導加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料)について、不適切な例が認められたので改めること。
・薬剤服用歴の記録に次の事項が記載していない。
(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、疼痛緩和の状況)
・薬剤服用歴の記録に必要な事項が記載されていない。
(麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無等の確認、指導の要点)
V 事務的事項(関東信越厚生局の指摘事項)
明細書の記載内容について、調剤報酬点数の算定項目が分かる明細書が発行されていない。
掲示が適切に行われていない例が認められたので改めること。
・明細書の発行状況に関する事項
・基準調剤加算に関する事項
・後発医薬品調剤体制加算を算定している旨
・後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨
・在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬局である旨
・調剤報酬点数表の一覧等
・個人情報の取り扱いに関する事項
届出事項変更(異動)届を提出していない例が認められたので改めること。
・開局日、開局時間
・保険薬剤師の異動(採用、退職等)
・保険薬剤師の常勤・非常勤の変更
・管理薬剤師の変更
請求内容の確認が行われていない例が認められたので改めること。
・保険薬剤師による処方せん、調剤録、調剤報酬明細書との突合・確認が行われていない。
一部負担金の取扱いについて、不適切な例が認められたので改めること。
・従業員について、一部負担金が適正に徴収されていない。
W その他(関東信越厚生局の指摘事項)
健康保険法をはじめとする社会保険各法並びに薬剤師法、医薬品医療機器等法等の保健医療に関する法令の理解が不足しているので、関係法令に関する理解に一層努めること。
個別指導に望む薬局の方は、お電話下さい。薬局の指導の対応を弁護士がアドバイスします。
薬局・薬剤師の個別指導のコラム
薬局・薬剤師の指導、監査のコラムの一覧です。
薬局個別指導の指摘事項(薬歴、明細書、掲示)のほか、指導監査の対応法などご説明しています。
個別指導(薬局)の際に、また日常の薬局運営にご活用下さい。
薬局の指導監査
1
薬局の個別指導と監査
保険薬局・保険薬剤師の取消の実例
1
保険薬局・薬剤師の取消の実例(1):情報提供の個別指導
2
保険薬局・薬剤師の取消の実例(2):無資格調剤による取消
3
保険薬局・薬剤師の取消の実例(3):監査拒否による取消処分
4
保険薬局・薬剤師の取消の実例(4):虚偽の処方せんの不正請求
5
保険薬局・薬剤師の取消の実例(5):別薬局の調剤分の不正請求
薬局の個別指導での指摘事項
関東信越厚生局の指摘事項
平成26年度
1
関東信越厚生局の個別指導(1):調剤、調剤録、調剤技術料
2
関東信越厚生局の個別指導(2):薬学管理料、請求事務
平成27年度
3
関東信越厚生局の個別指導(3):調剤内容、処方せん
4
関東信越厚生局の個別指導(4):薬剤服用歴、明細書
平成28年度
5
関東信越厚生局の個別指導(5):調剤技術料、薬学管理料
6
関東信越厚生局の個別指導(6):届出事項、一部負担金
東海北陸厚生局の指摘事項
7
東海北陸厚生局の個別指導(1):処方せん、調剤
8
東海北陸厚生局の個別指導(2):調剤録、調剤技術料
9
東海北陸厚生局の個別指導(3):薬学管理料
10
東海北陸厚生局の個別指導(4):届出事項、掲示事項
近畿厚生局の指摘事項
11
近畿厚生局の個別指導(1):処方せん、調剤、調剤録
12
近畿厚生局の個別指導(2):調剤技術料、調剤基本料
13
近畿厚生局の個別指導(3):薬剤服用歴管理指導料
14
近畿厚生局の個別指導(4):届出・掲示事項、一部負担金
特定共同指導・共同指導の指摘事項
15
厚生労働省の個別指導(1):調剤、調剤技術料、薬学管理料