薬局の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。
          
          ここでは、関東信越厚生局の薬局の指導での、薬学管理料、明細書、掲示、届出事項、一部負担金、請求事務に関する指摘事項をご紹介します。指摘事項は、関東信越厚生局の公表資料「平成26年度に実施した個別指導において保険薬局に改善を求めた主な指摘事項(平成28年7月)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。
          
          薬局・薬剤師の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
          
          【コラム】薬局の個別指導と監査の上手な対応法
          
          U 薬学管理料(関東信越厚生局の指摘事項)
          
           1 薬剤服用歴
          @ 薬剤服用歴の記録について、不適切な例が認められたので改めること。
          ・ 薬剤服用歴の記録に記載がない例が認められた。
           (性別・住所、調剤日・処方内容に関する照会の要点等の調剤についての記録、患者の体質・アレルギー歴・副作用歴等の患者についての情報の記録、患者又はその家族等からの相談事項の要点、服薬状況、残薬の状況の確認、患者の服薬中の体調の変化、併用薬等の情報、合併症を含む既往歴に関する情報、他科受診の有無、副作用が疑われる症状の有無、飲食物の摂取状況等、後発医薬品の使用に関する患者の意向、手帳による情報提供の状況、服薬指導の要点、指導した保険薬剤師の氏名)
          ・ 薬剤服用歴の記録に記載すべき全ての患者情報は、処方せんの受付後、薬剤を取りそろえる前に収集を行うこと。
          ・ 併用薬等の情報について、有無の記載だけで具体的内容が記載されていない。
          ・ 収集した患者情報をもとに薬学的知識に基づき分析・検討を行い、患者の理解度などについて適切な注意を払い継続性のある指導を行いその指導内容を記載すること。
          ・ 服薬指導について、過去の薬剤服用歴を参照し、必要に応じて確認・指導内容の見直しをしていない。
          ・ 対象となった医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び服薬指導の要点の記載がない、又は不十分である。
          ・ 判読困難な例が認められたので第三者にも判読できるような丁寧な記載に努めること。
          ・ 記載が修正テープにより訂正されている例が認められた。訂正にあたっては、訂正の経緯が分かるようにすること。
          ・ 鉛筆で記載している。
          ・ 患者についての薬剤服用歴の記録は、同一患者についてのすべての記録が必要に応じ直ちに参照できるよう保存・保管されていない。
          
A 薬剤服用歴の記録の電子保存について、不適切な例が認められたので改めること。
          ・ 電子薬歴に関する運用管理規程が「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第4.2版」に沿ったものとなっていない。
          ・ IDとパスワードが個人毎に付与されていない。
          ・ パスワードが定期的に変更されていない。
          
          
 2 薬剤情報提供文書、手帳
          @ 薬剤情報提供文書について、不適切な例が認められたので改めること。
          ・ 個々の患者に適した内容となっていない。
          ・ 当該薬剤の形状、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用、服用及び保管取扱い上の注意事項、情報提供を行った保険薬剤師の氏名が記載されていない。
          ・ 投薬に係る薬剤に対する後発医薬品に関する情報(後発医薬品の薬価基準への収載の有無・自局において支給可能又は備蓄している後発医薬品の名称及び価格(備蓄しておらず、かつ、支給もできない場合はその旨))を提供していない。
          
A 手帳について、不適切な例が認められたので改めること。
          ・ 情報提供する内容(服用に際して注意すべき事項)が不十分である。
          
          
 3 薬剤服用歴管理指導料その他の指摘事項
          @ 薬剤服用歴管理指導料について、不適切な例が認められたので改めること。
          ・ 保険薬剤師に交付された処方せんについて、その保険薬剤師が自ら調剤して指導を行ったものについて算定している。
          
A 重複投薬・相互作用防止加算について、不適切な例が認められたので改めること。
          ・ 処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容等を薬剤服用歴の記録に記載すること。
          
B 特定薬剤管理指導加算について、不適切な例が認められたので改めること。
          ・ 患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点について、薬剤服用歴の記録に記載がない例、不十分な例、画一的な例が認められた。
          ・ 特に安全管理が必要な医薬品が、複数処方されている場合に、そのすべてについての必要な薬学的管理及び指導をしていない。
          ・ 特に安全管理が必要な医薬品の対象外である。
          
C 乳幼児服薬指導加算について、不適切な例が認められたので改めること。
          ・ 薬剤服用歴の記録及び手帳に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認内容の記載がない例、不十分な例が認められた。
          ・ 手帳に、適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導の要点の記載がない例、不十分な例が認められた。
          
D 長期投薬情報提供料について、不適切な例が認められたので改めること。
          ・ 長期投薬に係る処方せんの受付時に、服用期間中にその使用に係る新たな重要な情報を知ったときは、患者又はその家族等に対して当該情報を提供することにつき、あらかじめ同意を得た旨が薬剤服用歴の記録に記載されていない。
          
E 麻薬管理指導加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料)について、不適切な例が認められたので改めること。
          ・ 薬剤服用歴の記録に必要な事項が記載されていない。
           (麻薬の服薬状況、残薬の状況、保管管理状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無等の確認、指導の要点、処方医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点、返納された麻薬の廃棄に関する事項)
          
F 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料について、不適切な例が認められたので改めること。
          ・ 患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医から緊急の要請があった日付及び当該要請の内容並びに当該要請に基づき訪問薬剤管理指導を実施した旨が薬剤服用歴の記録に記載が行われていない。
          
          
            
V 請求事務、事務的事項(関東信越厚生局の指摘事項)
      
          
          @ 明細書の記載内容について、調剤報酬点数の算定項目が分かる明細書を発行すること。
          A 保険薬局である旨が薬局の見やすい場所に標示されていないので改めること。
          B 掲示が適切に行われていない例が認められたので改めること。
          ・ 明細書の発行状況に関する事項
          ・ 薬剤服用歴管理指導料に関する事項
          ・ 基準調剤加算に関する事項
          ・ 後発医薬品調剤体制加算を算定している旨
          ・ 後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨
          ・ 在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬局であること
          ・ 在宅患者調剤加算に関する事項
          ・ 調剤報酬点数表の一覧表
          
C 届出事項変更(異動)届を提出していない例が認められたので改めること。
          ・ 開局日、開局時間
          ・ 保険薬剤師の異動(採用、退職等)
          ・ 保険薬剤師の常勤・非常勤の変更
          ・ 管理薬剤師の変更
          
D 保険薬剤師は、必ず、処方せん、調剤録、調剤報酬明細書との点検、確認を十分に行うこと。
          E 一部負担金の取扱いについて、不適切な例が認められたので改めること。
          ・ 従業員について、一部負担金が適正に徴収されていない。
          
F 保険調剤の一部負担金に対するポイント付与を行っているので改めること。
          
          
            
W その他(関東信越厚生局の指摘事項)
      
          
          @ 処方せん受付枚数に比べて保険薬剤師が不足しているので、補充について検討すること。
          A 健康保険法をはじめとする社会保険各法並びに薬剤師法、薬事法等関係法令に関する理解が不足しているので、関係法令に関する理解を一層努めること。
          
          
          
          個別指導、監査に悩んでいる薬局の方は、お電話下さい。指導監査への対応を弁護士がアドバイスします。
          
          
          
            
薬局・薬剤師の指導、監査のコラム
      
          
          薬局・薬剤師の指導、監査のコラムの一覧です。
          個別指導(薬局)の際に、また日常の薬局運営にご活用下さい。
          
          
 薬局の指導監査
          1 
薬局の個別指導と監査
          
           保険薬局・保険薬剤師の取消の実例
1  
保険薬局・薬剤師の取消の実例(1):情報提供の個別指導
                    2  
保険薬局・薬剤師の取消の実例(2):無資格調剤による取消
                    3  
保険薬局・薬剤師の取消の実例(3):監査拒否による取消処分
                    4  
保険薬局・薬剤師の取消の実例(4):虚偽の処方せんの不正請求
                    5  
保険薬局・薬剤師の取消の実例(5):別薬局の調剤分の不正請求
          
           薬局の個別指導での指摘事項
          関東信越厚生局の指摘事項
           平成26年度
          1  
関東信越厚生局の個別指導(1):調剤、調剤録、調剤技術料
                    2  
関東信越厚生局の個別指導(2):薬学管理料、請求事務
          
           平成27年度
          3  
関東信越厚生局の個別指導(3):調剤内容、処方せん
          
          4  
関東信越厚生局の個別指導(4):薬剤服用歴、明細書
          
           平成28年度
          5  
関東信越厚生局の個別指導(5):調剤技術料、薬学管理料
          
          6  
関東信越厚生局の個別指導(6):届出事項、一部負担金
          
          東海北陸厚生局の指摘事項
          7  
東海北陸厚生局の個別指導(1):処方せん、調剤
          
          8  
東海北陸厚生局の個別指導(2):調剤録、調剤技術料
          
          9  
東海北陸厚生局の個別指導(3):薬学管理料
          
          10 
東海北陸厚生局の個別指導(4):届出事項、掲示事項
          
          
          近畿厚生局の指摘事項
          11 
近畿厚生局の個別指導(1):処方せん、調剤、調剤録
          
          12 
近畿厚生局の個別指導(2):調剤技術料、調剤基本料
          
          13 
近畿厚生局の個別指導(3):薬剤服用歴管理指導料
          
          14 
近畿厚生局の個別指導(4):届出・掲示事項、一部負担金
          
          特定共同指導・共同指導の指摘事項
          15 
厚生労働省の個別指導(1):調剤、調剤技術料、薬学管理料