薬局の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。
ここでは、厚生労働省の保険局医療課医療指導監査室が作成した「保険調剤確認事項リスト(薬局)平成30年度改定版(ver.1809)」に基づき、手帳、薬歴の記録の保存、調剤報酬明細書、麻薬管理指導加算、重複投薬・相互作用等防止加算、特定薬剤管理指導加算、乳幼児服薬指導加算に関する個別指導での指摘事項をご説明します。
薬局・薬剤師の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
【コラム】薬局の個別指導と監査の上手な対応法
Ⅲ 薬学管理料に関する事項
Ⅲ-3-3 経時的に薬剤の記録が記入できる薬剤記録用手帳
手帳による情報提供について、次の不適切な例が認められたので改めること。
ア 調剤を行った薬剤について、経時的に患者の手帳に記載を行っていない。
イ 手帳に次の事項を記載していない。
(現地視察時に確認)
(ア)患者の氏名、生年月日、連絡先
(イ)患者のアレルギー歴、副作用歴
(ウ)患者の主な既往歴
ウ 手帳に次の事項の記載が[ ない ・ 不適切である ・ 不十分である ]。
(個別指導時に確認)
調剤日
薬剤の名称
用法
用量
必要に応じて服用に際して注意すべき事項
エ 手帳に初めて記載する保険薬局の場合に、次の事項を記載していない。
保険薬局の名称
保険薬局又は保険薬剤師の連絡先
Ⅲ-3-4 薬剤服用歴の記録(電磁的記録の場合)の保存等
電子的に保存している記録について、次の不適切な[ 例 ・ 事項 ]が認められたので改めること。
ア 最新の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版」に準拠していない。
不正ソフトウェア対策が行われていない。
システム操作業務日誌が備えられていない。
定期的に職員に対し個人情報の安全管理に関する教育研修を行っていない。
パスワードの有効期間を適切に設定していない。パスワードは定期的(2か月以内)に変更すること。
パスワードが( )文字である例が認められた。パスワードは英数字、記号を混在させた8文字以上の文字列が望ましい。
代行操作[ の承認の仕組みがない ・に係る承認を(速やかに)実施していない ]。
((以下、通知に記載)そのため、根拠のない調剤報酬を請求する恐れがあるので、調剤報酬の請求は薬剤師が承認した記録に基づき行うよう留意すること。)
情報システムの関係職種ごとのアクセス範囲が適切でない。
(従事者等の例:事務職員、委託業者職員 )
修正履歴が表示されない。
異動・退職した職員のIDの管理が適切に行われていない。
特定のIDを複数の職員( )が使用している。
運用管理規程がない。
(外部保存 組織的安全対策 )に係る運用管理規程の内容が不十分である。
運用管理規程に定めているシステムの監査を実施していない。
個人情報が保存されている記録媒体がスタッフの常駐する場所又は施錠された場所に保管されていない。
情報のバックアップを取得していない。
イ 薬局として[ 紙 ・ 電子 ]媒体を原本として定めているにもかかわらず、記録類を[ 紙 ・ 電子 ]媒体のみで保存している。
Ⅲ-3-5 調剤報酬明細書
一般名処方が行われた医薬品について、後発医薬品を調剤しなかった場合に、その理由を調剤報酬明細書の摘要欄に記載していない不適切な例が認められたので改めること。
Ⅲ-3-6 麻薬管理指導加算
麻薬管理指導加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
ア 電話等により麻薬の[ 服用状況 ・ 残薬の状況 ・ 保管状況 ] を定期的に確認していない。
イ 残薬の取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行っていない。
ウ 麻薬による[ 鎮痛等の効果 ・ 副作用の有無 ]の確認を行っていない。
エ 薬剤服用歴の記録に指導の要点の記載が [ ない ・ 不十分であ る ]。
オ 薬剤服用歴管理指導料の特例を算定した場合に、当該加算を算定している。
Ⅲ-3-7 重複投薬・相互作用等防止加算
重複投薬・相互作用等防止加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
ア 薬剤服用歴管理指導料を算定していない場合に、当該加算を算定している。
イ 処方の変更が行われなかった場合に算定している。
ウ 薬剤服用歴の記録に処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容の記載がない。
エ 「残薬調整に係るものの場合である」にも関わらず、「残薬調整に係るもの以外の場合」の加算を算定している。
オ 薬剤服用歴管理指導料の特例を算定した場合に、当該加算を算定している。
Ⅲ-3-8 特定薬剤管理指導加算
特定薬剤管理指導加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
ア 特に安全管理が必要な医薬品に該当しない医薬品について算定している。(薬剤名: )
イ 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合に、その全てについての必要な薬学的管理及び指導を行っていない。
ウ 薬剤服用歴の記録に対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点の記載が[ ない ・ 不十分である]。(薬剤名:
)
エ 従来と同一の処方内容にもかかわらず当該加算を継続して算定する場合に、重点的に行った指導の内容を薬剤服用歴の記録に記載していない。
オ 薬剤服用歴管理指導料の特例を算定した場合に、当該加算を算定している。
Ⅲ-3-9 乳幼児服薬指導加算
乳幼児服薬指導加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
ア 乳幼児に係る処方箋の受付の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行っていない。
イ 乳幼児に係る処方箋の受付の際に確認した、体重、適切な剤形その他必要な事項等について、[ 薬剤服用歴の記録 ・ 手帳 ]に記載していない。
ウ [ 薬剤服用歴の記録 ・ 手帳 ]に患者の家族等に対して行った適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導の要点の記載が[ ない・ 不十分である ]。
エ 薬剤服用歴管理指導料の特例を算定した場合に、当該加算を算定している
薬局個別指導に臨む薬局の方は、お電話下さい。指導への対応を弁護士がアドバイスします。
薬局・薬剤師の指導、監査のコラム
薬局・薬剤師の指導、監査のコラムの一覧です。
調剤報酬明細書や麻薬管理指導加算の指摘事項の他、様々なコラムを掲載しています。
個別指導(薬局)の際に、また日常の薬局運営にご活用下さい。
薬局の指導監査
1
薬局の個別指導と監査
薬局個別指導での保険調剤確認事項リスト
1
個別指導の指摘事項(1):処方箋の取扱い、処方内容の変更
2
個別指導の指摘事項(2):調剤、調剤済処方箋の取扱い
3
個別指導の指摘事項(3):調剤基本料、地域支援体制加算
4
個別指導の指摘事項(4):後発医薬品調剤体制加算、調剤料
5
個別指導の指摘事項(5):薬剤服用歴管理指導料、薬歴の記録
6
個別指導の指摘事項(6):調剤報酬明細書、麻薬管理指導加算
7
個別指導の指摘事項(7):かかりつけ薬剤師指導料
8
個別指導の指摘事項(8):在宅患者訪問薬剤管理指導料
9
個別指導の指摘事項(9):在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
10
個別指導の指摘事項(10):在宅患者緊急時等共同指導料
11
個別指導の指摘事項(11):保険薬局の独立性
12
個別指導の指摘事項(12):保険外併用療養費、保険外負担
保険薬局・保険薬剤師の取消の実例
1
保険薬局・薬剤師の取消の実例(1):情報提供の個別指導
2
保険薬局・薬剤師の取消の実例(2):無資格調剤による取消
3
保険薬局・薬剤師の取消の実例(3):監査拒否による取消処分
4
保険薬局・薬剤師の取消の実例(4):虚偽の処方せんの不正請求
5
保険薬局・薬剤師の取消の実例(5):別薬局の調剤分の不正請求
6
保険薬局・薬剤師の取消の実例(6):医院の個別指導からの監査
7
保険薬局・薬剤師の取消の実例(7):架空請求有罪判決での監査