薬局の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。
ここでは、薬局の保険調剤(かかりつけ薬剤師指導料、包括管理料、外来服薬支援料、在宅患者訪問薬剤管理指導料、服薬情報等提供料、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料)についてご説明します。内容は、厚生労働省保健局医療課医療指導監査室の公表資料「保険調剤の理解のために(平成28年度)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。
薬局・薬剤師の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
【コラム】薬局の個別指導と監査の上手な対応法
V 調剤報酬点数表の留意事項:5 薬学管理料
2 かかりつけ薬剤師指導料
患者が選択した「かかりつけ薬剤師」が、処方医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行う業務を薬学管理料として評価する。(平成28年度)
※ 薬剤服用歴管理指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料(当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行われた場合を除く。)と同時に算定できない。
[算定要件]
@ 患者が選択した保険薬剤師が患者の同意を得た上で、同意を得た後の次の来局時以降に算定できる。
A 同意については、当該患者の署名付きの同意書を作成した上で保管し、その旨を薬剤服用歴に記載する。
B 患者1人に対して、1人の保険薬剤師のみがかかりつけ薬剤師指導料を算定できる。かかりつけ薬剤師以外の保険薬剤師が指導等を行った場合は当該指導料を算定できない(要件を満たせば、薬剤服用歴管理指導料は算定できる。)。
C 手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称及び連絡先を記載する。
D 担当患者に対して以下の業務を実施すること。
ア 薬剤服用歴管理指導料に係る業務
イ 患者が受診している全ての保険医療機関、服用薬等の情報を把握
ウ 担当患者から24時間相談に応じる体制をとり、患者に開局時間外の連絡先を伝え、勤務表を交付(やむを得ない場合は当該薬局の別の薬剤師でも可)
エ 調剤後も患者の服薬状況、指導等の内容を処方医に情報提供し、必要に応じて処方提案
オ 必要に応じて患家を訪問して服用薬の整理等を実施
[施設基準]
以下の要件を全て満たす保険薬剤師を配置していること。
(1) 以下の経験等を全て満たしていること。
ア 施設基準の届出時点において、保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があること。
イ 当該保険薬局に週32時間以上勤務していること。
ウ 施設基準の届出時点において、当該保険薬局に6月以上在籍していること。
(2) 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。(当該規定は、平成29年4月1日から施行)
(3) 医療に係る地域活動の取組に参画していること。
3 かかりつけ薬剤師包括管理料
地域包括診療料、地域包括診療加算等が算定される患者に対してかかりつけ薬剤師が業務を行う場合は、調剤料、薬学管理料等に係る業務を包括的な点数で評価することも可能とする。
※ 薬剤服用歴管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料(当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行われた場合を除く。)と同時に算定できない。
[包括範囲]
下記以外は包括とする。
・ 時間外等加算、夜間・休日等加算
・ 在宅患者調剤加算、在宅患者訪問薬剤管理指導料(当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行われた場合に限る。)、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料
・ 退院時共同指導料
・ 薬剤料及び特定保険医療材料料
[算定要件]
@ 対象患者は、地域包括診療加算若しくは認知症地域包括診療加算又は地域包括診療料若しくは認知症地域包括診療料を算定している患者とする。
A かかりつけ薬剤師指導料の算定要件を満たしていること。
B 調剤の都度患者の服薬状況、指導等の内容を処方医に情報提供し、必要に応じて処方提案すること。(情報提供の方法については、保険医と合意が得られている場合はそれによるものとする。)
[施設基準]
かかりつけ薬剤師指導料と同じ。
4 外来服薬支援料
患者が保険薬局に服用薬等を持参し、保険薬剤師が服薬管理等を行った場合でも外来服薬支援料を算定可能とする。(「注1」及び「注2」合わせて月1回に限り算定可能)(平成28年度)
[外来服薬支援料]
注1 自己による服薬管理が困難な患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、当該患者が服薬中の薬剤について、当該薬剤を処方した保険医に当該薬剤の治療上の必要性及び服薬管理に係る支援の必要性を確認した上で、患者の服薬管理を支援した場合に月1回に限り算定する。
注2 患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、患者又はその家族等が保険薬局に持参した服用薬の整理等の服薬管理を行い、その結果を保険医療機関に情報提供した場合についても、所定点数を算定できる。
5 在宅患者訪問薬剤管理指導料
○ 在宅薬剤管理指導業務の一層の推進が望まれる。
・ 保険薬剤師1人につき1日当たり5回の算定制限を1週間当たり40回に見直す。(平成28年度)
・ 同一世帯の複数の患者に在宅訪問薬剤管理指導を実施した場合には、1人目の患者は「同一建物居住者以外の場合」の点数(650点)を算定できるようにする。(2人目以降は「同一建物居住者の場合」の点数(300点))(平成28年度)
・ 訪問薬剤管理指導を主に行っている保険薬局(「在宅基幹薬局」)の薬剤師に代わって、当該薬局と連携する他の保険薬局(「サポート薬局」)の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行った場合には、サポート薬局が薬剤服用歴の記録を記載し、在宅基幹薬局と当該記録の内容を共有することとするが、訪問薬剤管理指導の指示を行った医師等に対する訪問結果についての報告は在宅基幹薬局が行う。なお、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定は、在宅基幹薬局が行うこととするが、費用については両者の合議とする。
6 服薬情報等提供料
服薬情報等提供料及び長期投薬情報提供料については、調剤後の薬学的管理として統合した点数とする。(平成28年度)
診療情報提供書、服薬情報等提供文書等の診療等に要する文書(これまで記名・押印を要していたもの)を、電子的に送受できることを明確化し、安全性の確保等に関する要件を明記。(平成28年度)
<服薬情報等提供料の留意事項通知>
電子的方法によって、個々の患者の服薬に関する情報等を保険医療機関に提供する場合は、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(平成25年10月)を遵守し、安全な通信環境を確保するとともに、書面における署名又は記名
・押印に代わり、厚生労働省の定める準拠性監査基準を満たす保健医療福祉分野の公開鍵基盤(HPKI:Healthcare Public Key Infrastructure)による電子署名を施すこと。
7 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料
在宅薬剤管理指導業務において、医師の処方内容に対する疑義照会に伴い処方変更が行われた場合を評価。(平成28年度)
[主な算定要件]
(1)対象は、在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導又は介護予防居宅療養管理指導を行っている患者とする。
(2)薬剤服用歴等に基づき重複投薬、相互作用の防止等の目的で疑義照会を行い、処方内容が変更になった場合に算定できる。
(3)薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行われた場合を除く。(別途、薬剤服用歴管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料の算定が可能。)
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指導、監査のコラム
薬局・薬剤師の指導、監査のコラムの一覧です。
個別指導の際に、また日常の運営にご活用下さい。
薬局の指導監査
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薬局の個別指導と監査
保険薬局・保険薬剤師の取消の実例
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保険薬局・薬剤師の取消の実例(1):情報提供の個別指導
2
保険薬局・薬剤師の取消の実例(2):無資格調剤による取消
3
保険薬局・薬剤師の取消の実例(3):監査拒否による取消処分
4
保険薬局・薬剤師の取消の実例(4):虚偽の処方せんの不正請求
5
保険薬局・薬剤師の取消の実例(5):別薬局の調剤分の不正請求
薬局・薬剤師の保険調剤の概説
1
薬局・薬剤師の保険調剤(1):保険薬局と医療保険制度
2
薬局・薬剤師の保険調剤(2):保険調剤のルールと調剤報酬
3
薬局・薬剤師の保険調剤(3):保険調剤と処方せん、調剤録
4
薬局・薬剤師の保険調剤(4):調剤点数表、調剤技術料
5
薬局・薬剤師の保険調剤(5):薬学管理料、服用歴管理指導料
6
薬局・薬剤師の保険調剤(6):薬剤師指導料、包括管理料
7
薬局・薬剤師の保険調剤(7):明細書、届出事項、標示・掲示
8
薬局・薬剤師の保険調剤(8):保険調剤の指導、監査
9
薬局・薬剤師の保険調剤(9):保険調剤と薬担規則
10
薬局・薬剤師の保険調剤(10):保険調剤の調剤基本料
11
薬局・薬剤師の保険調剤(11):保険調剤の調剤料
12
薬局・薬剤師の保険調剤(12):薬剤服用歴管理指導料
13
薬局・薬剤師の保険調剤(13):かかりつけ薬剤師指導料
14
薬局・薬剤師の保険調剤(14):かかりつけ薬剤師包括管理料
15
薬局・薬剤師の保険調剤(15):保険調剤の外来服薬支援料
16
薬局・薬剤師の保険調剤(16):在宅患者訪問薬剤管理指導料
17
薬局・薬剤師の保険調剤(17):在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
18
薬局・薬剤師の保険調剤(18):在宅患者緊急時等共同指導料
19
薬局・薬剤師の保険調剤(19):退院時共同指導料、情報提供料
20
薬局・薬剤師の保険調剤(20):薬剤料、特定保険医療材料料
21
薬局・薬剤師の保険調剤(21):評価療養 患者申出療養 選定療養
22
薬局・薬剤師の保険調剤(22):薬担規則の掲示事項
23
薬局・薬剤師の保険調剤(23):書面保存での情報通信技術利用
24
薬局・薬剤師の保険調剤(24):医療システムガイドライン