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薬局の保険調剤(書面保存での情報通信技術の利用)のコラムです。保険薬局・保険薬剤師への個別指導、監査への帯同は、指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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薬局・薬剤師の保険調剤(23):書面保存での情報通信技術利用

薬局の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。


ここでは、薬局の保険調剤(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律等の施行等について)についてご説明します。内容は、厚生労働省保健局医療課医療指導監査室の公表資料「保険調剤の理解のために(平成28年度)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。

薬局・薬剤師の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。

【コラム】薬局の個別指導と監査の上手な対応法

書面の保存での情報通信技術利用の法律等の施行等について
る法律等の施行等について


民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律等の施行等について

(平成28 年3 月31 日付け 医政発0331 第30 号 薬生発0331 第10 号 保発0331 第26 号政社発0331 第1号)

 第一 法及び省令の趣旨

 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法に基づき作成された「e―Japan 重点計画―2004」において、民間における文書・帳票の電子的な保存を原則として容認する統一的な法律の制定を行うものとされたことを受けて、民間事業者等が行う書面の保存等に関し、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うことができるようにするための共通する事項を定めることにより、書面の保存等に係る負担の軽減等を通じて国民の利便性の向上を図ることを目的として制定されたものであること。

 第二 法及び省令の内容等

1 法の内容
(1)民間事業者等は、他の法令の規定により書面により保存しなければならないとされているものについては、書面に代えて電磁的記録により保存を行うことができること。
(2)民間事業者等は、保存をしなければならない書面の作成、縦覧等又は交付等のうち他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているものについては、書面に代えて電磁的記録により作成、縦覧等又は交付等を行うことができること。
(3)(1)及び(2)の対象となる書面の範囲及び電磁的記録の作成、保存、縦覧等又は交付等の方法については、主務省令で定めるところによること。

2 省令の内容(医療分野に係る文書に限る)
(1)電磁的記録の保存、作成及び交付等を行うことができる文書
一 医師法(昭和23年法律第201号)第24条の診療録
二 歯科医師法(昭和23年法律第202号)第23条の診療録
三 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第42条の助産録
四 医療法(昭和23年法律第205号)第52条の財産目録及び貸借対照表並びに損益計算書
五 歯科技工士法(昭和30年法律第168号)第19条の指示書
六 薬剤師法(昭和35年法律第146号)第28条の調剤録
七 外国医師又は外国歯科医師が行う臨床修練に係る医師法第十七条及び歯科医師法第十七条の特例等に関する法律(昭和62年法律第29号)第11条の診療録
八 救急救命士法(平成3年法律第36号)第46条の救急救命処置録
九 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第30条の23第1項及び第2項の帳簿
十 保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)第9条の診療録等(作成については、同規則第22条)
十一 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和32年厚生省令第16号)第6条の調剤録(作成については、同規則第5条)
十二 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律施行規則(昭和33年厚生省令第24号)第12条の3の書類(作成については、同規則第12条第14号及び第15号)
十三 医療法(昭和23年法律第205号)第21条第1項の記録(同項第9号に規定する診療に関する諸記録のうち医療法施行規則第20条第10号に規定する処方せんに限る。)、同法第22条の記録(同条第2号に規定する診療に関する諸記録のうち医療法施行規則第21条の5第2号に規定する処方せんに限る。)、同法第22条の2の記録(同条第3号に規定する診療に関する諸記録のうち医療法施行規則第22条の3第2号に規定する処方せんに限る。)及び同法第22条の3の記録(同条第3号に規定する診療及び臨床研究に関する諸記録のうち医療法施行規則第22条の7第2号に規定する処方せんに限る。)(第二2(4)を参照のこと)
十四 薬剤師法(昭和35年法律第146号)第26条、第27条の処方せん(第二2(4)を参照のこと。)
十五 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和32年厚生省令第16号)第6条の処方せん(第二2(4)を参照のこと。)
十六 医療法(昭和32年法律第205号)第21条第1項の記録(医療法施行規則第20条第10号に規定する処方せんを除く。)、同法第22条の記録(医療法施行規則第21条の5第2号に規定する処方せんを除く。)、同法第22条の2の記録(医療法施行規則第22条の3第2号に規定する処方せんを除く。)及び同法第22条の3の記録(医療法施行規則第22条の7第2号に規定する処方せんを除く。)
十七 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第27条第6項の処方せん
十八 歯科衛生士法施行規則(平成元年厚生省令第46号)第18条の歯科衛生士の業務記録
十九 医師法(昭和23年法律第201号)第22条の処方せん
二十 歯科医師法(昭和23年法律第202号)第21条の処方せん
二十一 健康保険法施行規則(大正15年内務省令第36号)第54条の処方せん
二十二 船員保険法施行規則(昭和15年厚生省令第5号)第45条第1項の処方せん
二十三 保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)第23条第1項の処方せん
二十四 国民健康保険法施行規則(昭和33年厚生省令第53号)第25条の処方せん
二十五 高齢者の医療の確保に関する法律施行規則(平成19年厚生労働省令第129号)第30条の処方せん
(2)電磁的記録の保存を行う方法
① 作成された電磁的記録を保存する場合
 作成された電磁的記録については、民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク、CD―Rその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物(以下「磁気ディスク等」という。)をもって調製するファイルにより保存しなければならないこと。
② 書面で作成された文書をスキャナで読み取った電磁的記録で保存する場合
 書面に記載されている事項を一定の規格・基準を満たすスキャナ(これに準ずる画像読取装置を含む。)により読み取ってできた電磁的記録については、民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存しなければならないこと。
(3)電磁的記録の保存を行う場合の基準として講じなければならない措置電磁的記録による保存を行うことができる文書等に記録された情報を電子媒体に保存する場合は次の三条件を満たさなければならない。
 なお、現状で選択可能な技術にも具体的に言及した「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」が定められたところであり、医療機関等における診療録等の電子保存に係る責任者は、当該ガイドラインを参照すること。
① 見読性の確保

 必要に応じ電磁的記録に記録された事項を出力することにより、直ちに明瞭かつ整然とした形式で使用に係る電子計算機その他の機器に表示し、及び書面を作成できるようにすること。
(ア)情報の内容を必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできること。
(イ)情報の内容を必要に応じて直ちに書面に表示できること。
② 真正性の確保
 電磁的記録に記録された事項について、保存すべき期間中における当該事項の改変又は消去の事実の有無及びその内容を確認することができる措置を講じ、かつ、当該電磁的記録の作成に係る責任の所在を明らかにしていること。
(ア)故意または過失による虚偽入力、書換え、消去及び混同を防止すること。
(イ)作成の責任の所在を明確にすること。
③ 保存性の確保
 電磁的記録に記録された事項について、保存すべき期間中において復元可能な状態で保存することができる措置を講じていること。
(4)処方せんの取扱い
 処方せんを電磁的記録により保存、作成及び交付等する場合の取扱いについては「電子処方せんの運用ガイドラインの策定について」(平成28 年3月31 日付け医政発0331 第31 号・薬生発0331 第11 号・保発0331 第27 号・政社発0331 第2号厚生労働省医政局長、医薬・生活衛生局長、保険局長及び政策統括官(社会保障担当)連名通知。以下「運用ガイドライン」という。)において、運用に当たっての考え方や要件を示しているので、これに沿った運用を行うこと。なお、交付及び保存について特に留意すべき点は次のとおりであること。
① 処方せんの電磁的記録による交付
 運用ガイドラインに沿って、処方せんを電磁的記録により交付する場合には、交付の相手方である患者において、当該記録を出力することにより書面の作成ができるようにすることを要しないこと。
② 紙媒体で交付された処方せんの保存
 医師等から紙媒体で交付された処方せんを薬局でスキャナ等により電子化して保存することについては、(3)の要件のもとに認められるものであること。
 なお、院内における処方せん(病院(診療所)に置かれる調剤所に対する指示書を含む。)の保存については、(3)の要件のもとにスキャナ等により電子化して保存することについて認められるものであること。
(5)署名
 民間事業者等は、他の法令の規定により署名等をしなければならないとされているものについては、当該規定の法令にかかわらず、電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)第2条第1項に規定する電子署名をもって、当該署名等に代えることができること。

3 照射録の取扱いについて
 診療放射線技師法(昭和26年法律第226号)第28条第1項に規定する照射録については、法令上、保存義務が課されておらず、法の適用対象外であるが、法の適用対象となる書面と同様、2(3)及び(5)の条件を満たした場合において、電磁的記録による作成、保存及び署名を認めることとしたこと。なお、電磁的記録の作成又は保存がされた照射録についても、診療放射線技師法第28 条第2 項に規定する都道府県知事による検査の対象となること。

 第三 留意事項

1 施設の管理者は、運用管理規程を定め、これに従い実施すること。
2 運用管理規程には以下の事項を定めること。
(1)運用管理を総括する組織・体制・設備に関する事項
(2)患者のプライバシー保護に関する事項
(3)その他適正な運用管理を行うために必要な事項
3 保存されている情報の証拠能力・証明力については、平成8年の高度情報通信社会推進本部制度見直し作業部会報告書において説明されているので、これを参考とし十分留意すること。
4 個人情報保護法等、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(平成16年12月24日付け医政発1224001 号・薬食発第1224002 号・老発第1224002 号厚生労働省医政局長・医薬食品局長・老健局長連名通知)及び第四に掲げるガイドライン等を遵守する等により、患者の個人情報保護に十分留意すること。

 第四 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」

 「法令に保存義務が規定されている診療録及び診療諸記録の電子媒体による保存に関するガイドライン」(平成11年4月22日付け健政発第517 号・医薬発第587 号・保発第82 号厚生省健康政策局長・医薬安全局長・保険局長連名通知に添付)、「診療録等の外部保存に関するガイドライン」(平成14年5月31日付け医政発第0531005 号厚生労働省医政局長通知)も踏まえ、個人情報保護に資する情報システムの運用管理、法への適切な対応等について「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を策定したこと。
 また、第二2(2)②において満たすべき要件については、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の9に、第二2(3)において満たすべき要件については、7.1から7.3に、第二2(5)については、6.12に、それぞれ充足すべき要件等について具体的に言及されているので参照されたいこと。


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