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地域支援体制加算1、地域支援体制加算2、地域支援体制加算3、地域支援体制加算4の厚生局の指摘事項(薬局)、算定留意事項の、弁護士のコラムです。

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薬局保険調剤指摘事項(10):地域支援体制加算

薬局の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼頂き、指導監査に対応しています。

個別指導・監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、薬局の保険調剤に関して、調剤基本料に係る地域支援体制加算(1、2、3、4)での算定留意事項、確認事項、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険調剤確認事項リスト(薬局)令和6年度改訂版に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、薬局の個別指導と監査、新規個別指導については、対応法など記載しておりますので、以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

【コラム】1 薬局の個別指導と監査

     2 薬局の新規個別指導(新規指導)

地域支援体制加算(調剤基本料)での指摘事項


 1 地域支援体制加算の不適切な算定

地域支援体制加算[1・2・3・4]について、次の不適切な[例・事項]が認められたので改めること。

すなわち、
(1)地域医療への貢献に係る実績として、直近1年間に要件を満たしていない。

(2)地域における医薬品等の供給拠点としての体制を満たしていない。
ア 保険調剤に係る医薬品として1,200品目以上の医薬品を備蓄していない。
イ 当該薬局の存する地域の保険医療機関又は保険薬局(同一グループの保険薬局を除く。)に対して在庫状況の共有、医薬品の融通などを行っていない。
ウ 医療材料及び衛生材料を供給できる体制を有していない。
エ 麻薬小売業者の免許を取得していない。
オ 処方箋集中率が85%を超える場合に、調剤した薬剤(後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品)の規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が、当該加算の施設基準に係る届出時の直近3か月の実績の70%以上でない。
カ 次の情報を随時提供できる体制にない。
(イ)一般名
(ロ)剤形
(ハ)規格
(ニ)内服薬の製剤の特徴(普通製剤、腸溶性製剤、徐放性製剤等)
(ホ)緊急安全性情報、安全性速報
(ヘ)医薬品・医療機器等安全性情報
(ト)医薬品・医療機器等の回収情報

(3)休日、夜間を含む薬局における調剤・相談応需体制等の対応
ア [平日1日8時間以上・土曜日又は日曜日のいずれかの曜日に一定時間以上・週45時間以上]開局していない。
イ 当該保険薬局のみ又は当該保険薬局を含む近隣の保険薬局と連携して、休日、夜間を含む開局時間外であっても調剤及び在宅業務に対応できる体制が整備されていない。
ウ 当該保険薬局を利用する患者及びその家族等からの相談等に対する以下の体制が整備されていない。
(イ)夜間、休日を含む時間帯の対応できる体制が整備されていること。また、やむを得ない事由により、患者からの電話等による問い合わせに応じることができなかった場合は、速やかに折り返して連絡することができる体制が整備されていること。
(ロ)当該保険薬局は、原則として初回の処方箋受付時に(記載事項に変更があった場合はその都度)、当該薬局の保険薬剤師と連絡がとれる連絡先電話番号等、緊急時の注意事項(近隣の保険薬局との連携により休日、夜間を含む開局時間外であっても調剤及び在宅業務に対応できる体制を整備している保険薬局は、連携薬局の所在地、名称、連絡先電話番号等を含む。)等について、事前に患者又はその家族等に対して説明の上、文書(これらの事項が薬袋に記載されている場合を含む。)により交付していること。
(ハ)これらの連携薬局及び自局に直接連絡が取れる連絡先電話番号等を当該保険薬局の外側の見えやすい場所に掲示すること。
エ 地域の行政機関、保険医療機関、訪問看護ステーション及び福祉関係者等に対して、休日、夜間を含む開局時間外であっても調剤及び在宅業務に対応できる体制(地域医療の確保の観点から、救急医療対策の一環として設けられている輪番制に参加している場合も含む。)に係る周知を自局及び同一グループで十分に対応していない。また、同様の情報の周知を地域の行政機関又は薬剤師会等を通じて十分に行っていない。

(4)在宅医療を行うための関係者との連携等の体制
ア あらかじめ患家の同意が得られた場合に、訪問薬剤管理指導の結果等の必要な情報を関係する診療所等の医師又は看護師に文書(電子媒体を含む。)により随時提供していない。
イ 当該地域において、介護支援専門員(ケアマネージャー)、社会福祉士等の他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当する者と連携していない。また、患者の服薬状況に関する相談を受け付けるなど、地域包括支援センターと必要な連携を行っていない。
ウ 直近1年間の実績として、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費(ただし、いずれも情報通信機器を用いた場合の算定回数を除く。)の算定回数の合計が保険薬局当たりで24回以上でない。
エ-1 在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出を行っていない。
エ-2 在宅患者に対する薬学的管理指導が可能な体制を整備していない。
(ア)保険薬剤師に在宅患者訪問薬剤管理指導に必要な研修等を受けさせていない。
(イ)薬学的管理指導計画書の様式を備えていない。
エ-3 患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬局である旨を記載した文書を交付していない。

(5)医療安全に関する取組の実施
ア 医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)に登録していない。
イ 薬局機能情報提供制度において、「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」として直近一年以内に都道府県に報告していない。
ウ 副作用報告に係る手順書を作成しておらず、報告を実施する体制を有していない。

(6)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出を行っていな い。

(7)患者ごとに薬剤服用歴等を作成して[調剤に際して必要な薬学的管理を行って・調剤の都度必要事項を記入して・当該記録に基づき、調剤の都度当該薬剤の服用及び保管取扱いの注意に関し必要な指導を行って]いない。

(8)管理薬剤師(施設基準の届出時点から変更されている者も含まれる。)について以下の要件を満たしていない。
ア 施設基準の届出時点において、保険薬剤師として5年以上の保険薬局勤務経験がある。
イ 当該薬局に週32時間以上勤務している。
ウ 施設基準の届出時点において、当該保険薬局に継続して1年以上在籍している。

(9-1)調剤従事者等の資質の向上を図るための研修実施計画の作成、当該計画に基づく研修を実施していない。

(9-2)定期的に薬学的管理指導、医薬品の安全、医療保険等に関する外部の学術研修(地域薬剤師会等が行うものを含む。)を受けさせていない。

(10)患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなどの患者のプライバシーに配慮していない。

(11)地域医療に関連する取組の実施
ア-1 要指導医薬品及び一般用医薬品を販売していない。
ア-2 健康サポート薬局の届出要件とされている48薬効群の品目が取り扱われていない。
イ-1 健康相談又は健康教室が行われていない。
イ-2 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、こころの健康づくり、飲酒、喫煙など生活習慣全般に係る相談について応需・対応しておらず、地域住民の生活習慣の改善、疾病の予防に資する取組を行うといった健康情報拠点としての役割を果たしていない。
ウ 緊急避妊薬を備蓄していない。[当該医薬品を必要とする者に対する相談について適切に応需・対応し、調剤を行う体制を整備していない。]
エ 当該保険薬局の敷地内における禁煙の取扱い
① 当該保険薬局の敷地内が禁煙でない。
② 保険薬局が建造物の一部分を用いて開設されている場合に、当該保険薬局の保有又は借用している部分が禁煙でない。
オ 当該保険薬局及び当該薬局に併設される医薬品の店舗販売業において、たばこ及び喫煙器具を販売している。

【コメント】
上記(1)の地域医療への貢献に係る実績として、以下が挙げられています。

地域支援体制加算1:
 ①から⑩までの10の要件のうち、④を含む3項目以上を満たす。
地域支援体制加算2:
 ①から⑩までの10の要件のうち、8項目以上を満たす。
① 時間外等加算及び夜間・休日等加算の算定回数の合計が40回以上である。
② 麻薬を調剤した場合に加算される点数の算定回数が1回以上である。
③ 調剤管理料の重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算定回数の合計が20回以上である。
④ かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の算定回数の合計が20回以上である。
⑤ 外来服薬支援料1の算定回数が1回以上である。
⑥ 服用薬剤調整支援料1及び2の算定回数の合計が1回以上である。
⑦ 在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費(ただし、いずれも情報通信機器を用いた場合の算定回数を除く。)について単一建物診療患者が1人の場合の算定回数の合計が計24回以上である。
⑧ 服薬情報等提供料の算定回数が30回以上である。なお、当該回数には、服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、相当する業務を行った場合を含む。
⑨ 服薬管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料及び在宅患者緊急時等共同指導料の小児特定加算の算定回数の合計が1回以上である。
⑩ 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得した保険薬剤師が地域の多職種と連携する会議に1回以上出席している。
①~⑨は直近1年間の処方箋受付回数1万回当たりの実績、⑩は保険薬局当たりの直近1年間の実績。

地域支援体制加算3:
 ①から⑩までの10の要件のうち、④及び⑦を含む3項目以上を満たす。
地域支援体制加算4:
 ①から⑩までの10の要件のうち、8つ以上を満たすこと。
① 時間外等加算及び夜間・休日等加算の算定回数の合計が400回以上である。
② 薬剤調製料の麻薬を調剤した場合に加算される点数の算定回数が10回以上である。
③ 重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算定回数の合計が40回以上である。
④ かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料の算定回数の合計が40回以上である。
⑤ 外来服薬支援料1の算定回数が12回以上である。
⑥ 服用薬剤調整支援料1及び2の算定回数の合計が1回以上である。
⑦ 在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費(ただし、いずれも情報通信機器を用いた場合の算定回数を除く。)について単一建物診療患者が1人の場合の算定回数の合計が計24回以上である(在宅協力薬局として連携した場合(同一グループ薬局に対して業務を実施した場合を除く。)や同等の業務を行った場合を含む。)。なお、「同等の業務」とは、在宅患者訪問薬剤管理指導料で規定される患者1人当たりの同一月内の算定回数の上限を超えて訪問薬剤管理指導業務を行った場合を含む。
⑧ 服薬情報等提供料の算定回数が60回以上である。なお、当該回数には、服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、相当する業務を行った場合を含む。
⑨ 服薬管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料、在宅患者訪問薬剤管理指導料(在宅患者オンライン薬剤管理指導料を除く。)、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料(在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料を除く。)及び在宅患者緊急時等共同指導料の小児特定加算の算定回数の合計が1回以上である。
⑩ 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得した保険薬剤師が地域の多職種と連携する会議に5回以上出席している。
①~⑨は直近1年間の処方箋受付回数1万回当たりの実績、⑩は保険薬局当たりの直近1年間の実績。

また、上記(3)イの体制について、単独の保険薬局又は近隣の保険薬局との連携により、患家の求めに応じて休日、夜間を含む開局時間外であっても調剤及び在宅業務に対応できる体制を整備していることをいうものであり、当該業務が自局において速やかに提供できない場合であっても、患者又はその家族等の求めがあれば連携する近隣の保険薬局を案内すること、また、休日、夜間を含む開局時間外であっても調剤及び在宅業務に対応できる体制には、地域医療の確保の観点から、救急医療対策の一環として設けられている輪番制に参加している場合も含まれるとされています。


 2 特別調剤基本料Aを算定する保険薬局

特別調剤基本料Aを算定する保険薬局であるにもかかわらず、100分の10に相当する点数で算定していない。

【コメント】
地域支援体制加算の施設基準の要件、算定は複雑であり、誤りのないように、適切に届出を行い継続的に検証・管理していくことが重要です。

参考:地域支援体制加算に関する留意事項通知(令和6年3月5日)
<調剤技術料>
区分00 調剤基本料
3 地域支援体制加算
(1) 地域支援体制加算は、かかりつけ薬剤師が機能を発揮し、地域医療に貢献する保険薬局の体制等を評価するものであり、調剤基本料の区分によらない共通の施設要件(一定の開局時間、在宅体制整備等)及び調剤基本料の区分により一定の差がある実績等を満たした上で必要な届出を行った場合に算定できる。ただし、特別調剤基本料Aを算定している保険薬局においては、地域支援体制加算の所定点数を100分の10にし、小数点以下第一位を四捨五入した点数を算定する。

(2) 地域支援体制加算は、特別調剤基本料Bを算定している保険薬局は算定できない。



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薬局・薬剤師の指導、監査のコラム


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 薬局の指導監査

1  薬局の個別指導と監査

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 薬局の保険調剤での指摘事項

1  薬局への指摘事項(9):調剤基本料

2  薬局への指摘事項(10):地域支援体制加算

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