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在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2の薬局の算定での厚生局の指摘事項、算定留意事項の、弁護士によるコラムです。

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薬局保険調剤指摘事項(60):在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料

薬局の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼頂き、指導監査に対応しています。

個別指導・監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、薬局の保険調剤に関して、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料(1 計画的な訪問薬剤管理指導に係る疾患の急変に伴うものの場合、2 1以外の場合)の算定での留意事項、確認事項、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険調剤確認事項リスト(薬局)令和6年度改訂版に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、薬局の個別指導と監査、新規個別指導については、対応法など記載しておりますので、以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

【コラム】1 個別指導、監査と弁護士の同席のコラム

     2 新規個別指導と弁護士の同席のコラム

在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料での指摘事項


 1 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の不適切な算定

1 [在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料・在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料]について、次の不適切な例が認められたので改めること。

すなわち、
(1)訪問薬剤管理指導を実施していない保険薬局の保険薬剤師が行ったものについて算定している。

(2-1)在宅での療養を行っていない患者について算定している。

(2-2)通院が困難でない患者について算定している。

(3)保険医の求めがないものについて算定している。

(4)末期の悪性腫瘍の患者及び注射による麻薬の投与が必要な患者以外の患者について、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1及び2並びに在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料を合わせて月4回を超えて算定している。

(5)末期の悪性腫瘍の患者及び注射による麻薬の投与が必要な患者に対して、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料に係る業務を実施する場合に、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1及び2を合わせて月8回を超えて算定している(特に医療上の必要がある場合であって、保険医の発行した処方箋に基づくときを除く。)。

(6)計画的な訪問薬剤管理指導の対象となっていない疾患の急変等について、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1を算定している。

(7)当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医に対して、訪問結果について必要な情報提供を文書で行っていない。

(8)在宅療養を担う保険医療機関の保険医と連携する他の保険医の求めにより、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行った場合に、[当該保険医・当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医]に対し必要な情報提供を文書で行っていない。

(9-1)在宅協力薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行うことについて、あらかじめ当該患者又はその家族等の同意を得ていない。

(9-2)在宅協力薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行った場合に、薬学的管理指導計画の内容を共有していない。

(10)薬剤服用歴等について、次の事項の記載が[ない・不適切である・不十分である]。
(薬学管理料の通則(4)の記載事項)
 □オンライン資格確認等システムを通じて取得した患者の診療情報、薬剤情報等
 □ア 患者の基礎情報
  □氏名
  □生年月日
  □性別
  □被保険者証の記号番号
  □住所
  □必要に応じて緊急連絡先
 □イ 処方及び調剤内容等
  □処方した保険医療機関名
  □処方医氏名
  □処方日
  □調剤日
  □調剤した薬剤
  □処方内容に関する照会の要点等
 □ウ 以下の患者情報
 □(イ-1)患者の体質
  □アレルギー歴
  □副作用歴
 □(イ-2)薬学的管理に必要な患者の生活像
 □(イ-3)後発医薬品の使用に関する患者の意向
 □(ロ)疾患に関する情報(既往歴、合併症及び他科受診において加療中の疾患に関するものを含む。)
 □(ハ-1)併用薬(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品及び健康食品を含む。)等の状況
 □(ハ-2)服用薬と相互作用が認められる飲食物の摂取状況
 □(ニ)服薬状況(残薬の状況を含む。)
 □(ホ-1)患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)
 □(ホ-2)患者又はその家族等からの相談事項の要点
 □(ヘ)手帳活用の有無 □エ 今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点
 □オ 指導した保険薬剤師の氏名
 (少なくとも記載されていなければならない事項)
 □ア-1 訪問の実施日
 □ア-2 訪問した薬剤師の氏名
 □イ [保険医から緊急の要請があった日付・当該要請の内容・当該要請に基づき訪問薬剤管理指導を実施した旨]
 □ウ 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容(服薬状況、副作用、相互作用等に関する確認等を含む。)
 □エ 当該保険医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
 (在宅協力薬局の薬剤師が緊急訪問薬剤管理指導を行った場合の記載事項)
 □オ 在宅協力薬局の薬剤師が緊急訪問薬剤管理指導を行った場合に、在宅協力薬局から共有された薬剤服用歴等の内容

(在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料)
(11)情報通信機器を用いた薬学的管理及び指導を行った場合に在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定している。

(患家との距離要件)
2 特殊な事情がないにもかかわらず、保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えているものについて、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定している不適切な例が認められたので改めること。

3 感染症法第6条第7項に規定する新型インフルエンザ等感染症、同条第8項に規定する指定感染症、同条第9項に規定する新感染症の患者について、[在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1・在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料]の他に、服薬管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料を併算定している。

【コメント】
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料について、その「状態の急変等に伴い」には、化学療法の副作用対策としての支持薬処方、状態変化に伴う処方変更など、今後の継続的な薬物療法に影響を及ぼすことが想定される場合は、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医又は当該保険医療機関と連携する他の保険医療機関の保険医の求めがある場合には該当するとされていますので、留意が求められます。

参考:在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料に関する留意事項通知(令和6年3月5日)
<薬学管理料>
区分15の2 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
(1) 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの状態の急変等に伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医又は当該保険医療機関と連携する他の保険医療機関の保険医(以下この項で単に「保険医」という。)の求めにより、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導とは別に、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行い、当該保険医に対して訪問結果について必要な情報提供を文書で行った場合に、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1及び2並びに在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料を合わせて月4回に限り算定する。

(2) (1)の規定にかかわらず、末期の悪性腫瘍の患者及び注射による麻薬の投与が必要な患者に対して、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料に係る業務を実施する場合は、1と2を合わせて原則として月8回まで算定できる。ただし、特に医療上の必要がある場合であって、保険医の発行した処方箋に基づくときに限り、月8回を超えて算定することができる。ただし、この場合にあっては、保険医からの指示内容、訪問が必要になった患者の容態等について、必要な薬学的分析を実施し、薬剤服用歴等に記載した上で、当該訪問が必要であった理由を調剤報酬明細書の摘要欄に簡潔に記載すること。

(3) 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1は、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導の対象疾患の急変等に関して、保険医の求めにより、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行い、訪問結果について当該保険医に必要な情報提供を文書で行った場合に算定する。

(4) 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2は、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導の対象となっていない疾患の急変等に関して、保険医の求めにより、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行い、訪問結果について当該保険医に必要な情報提供を文書で行った場合に算定する。

(5) (3)及び(4)については、情報通信機器を用いて療養上必要な薬学的管理指導を行った場合は、在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料を算定する。この場合において、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は算定できない。

(6) (3)から(5)までについては、在宅療養を担う保険医療機関の保険医と連携する他の保険医の求めにより、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行った場合は、当該保険医に加え、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医にも必要な情報提供を文書で行うこと。在宅療養を担う保険医療機関の保険医と連携する他の保険医については、担当医に確認し、薬学的管理指導計画書等に当該医師の氏名と医療機関名を記載すること。

(7) 「15」在宅患者訪問薬剤管理指導料の1の(4)に規定する同意を得ている場合において、在宅基幹薬局に代わって在宅協力薬局が緊急訪問薬剤管理指導を行った場合は、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定できる。なお、その場合においては、「15」在宅患者訪問薬剤管理指導料の1の(4)の取扱いに準ずること。

(8) 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定するためには、薬剤服用歴等に薬学管理料の通則(4)の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
ア 訪問の実施日、訪問した保険薬剤師の氏名
イ 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医又は当該保険医と連携する他の保険医から緊急の要請があった日付及び当該要請の内容並びに当該要請に基づき訪問薬剤管理指導を実施した旨
ウ 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容(服薬状況、副作用、相互作用等に関する確認等を含む。)
エ 保険医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点

(14) 保険薬局(在宅協力薬局を含む。)の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える訪問薬剤管理指導については、患家の所在地から16キロメートルの圏域の内側に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている保険薬局が存在しないなど、当該保険薬局からの訪問薬剤管理指導を必要とする特殊な事情がある場合に認められるものであって、この場合の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定については16キロメートル以内の場合と同様に算定する。特殊な事情もなく、特に患家の希望により16キロメートルを超えて訪問薬剤管理指導を行った場合の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は保険診療としては認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、患家を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に当該保険薬局が所在する場合をいう。ただし、平成24年3月31日以前に在宅患者訪問薬剤管理指導料の「注1」に規定する医師の指示があった患者については、当該規定は適用しないものであること。

(15) 「注8」に規定する交通費は実費とする。

(17) 「注10」については、患家又は宿泊施設及び入所中の施設を保険薬剤師が緊急に訪問し、当該患者又はその家族等(現にその看護に当たっている者及び当該患者の薬剤を管理している当該施設の職員を含む。)対して、必要な薬学的管理及び指導を実施し、薬剤を交付した場合に「注1」に規定する計画的な訪問薬剤管理指導の実施の有無によらず算定できる。また、この場合において、服薬管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料は、別に算定できない。

(18) 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は、特別調剤基本料Bを算定している保険薬局は算定できない。


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薬局・薬剤師の指導、監査のコラム


厚生局による薬局・薬剤師の個別指導と監査、保険調剤に関する弁護士のコラム一覧です。
薬局の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2の指摘事項、算定での留意事項の他、様々なコラムがございます。
個別指導(薬局)の際に、また日常の薬局運営にご活用下さい。

 薬局の指導監査

1  薬局の個別指導と監査

2  薬局の新規個別指導(新規指導)

 薬局の保険調剤での指摘事項

 在宅患者訪問薬剤管理指導料での指摘事項
1  薬局への指摘事項(53):在宅患者訪問薬剤管理

2  薬局への指摘事項(54):在宅患者オンライン

3  薬局への指摘事項(55):麻薬管理指導加算

4  薬局への指摘事項(56):在宅患者医療用麻薬

5  薬局への指摘事項(57):乳幼児加算

6  薬局への指摘事項(58):小児特定加算

7  薬局への指摘事項(59):在宅中心静脈栄養法

 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料での指摘事項
8  薬局への指摘事項(60):在宅患者緊急訪問

9  薬局への指摘事項(61):麻薬管理指導加算

10 薬局への指摘事項(62):在宅患者医療用麻薬

11 薬局への指摘事項(63):乳幼児加算

12 薬局への指摘事項(64):小児特定加算

13 薬局への指摘事項(65):在宅中心静脈栄養法

14 薬局への指摘事項(66):夜間訪問、休日訪問

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